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2022年1月21日、ベトナム・タインホア省 ― ベトナム労働・傷病兵・社会省(MOLISA)は、ジェンダーに基づく暴力被害者のためのワン・ストップ・サービスセンターとして2番目となる施設をタインホア省に開設しました。これは、日本政府が拠出するプロジェクト「社会的に脆弱な人々に対する新型コロナの負の影響の軽減―ベトナムのSDGs達成に向けた国家発展のために―」の一環で、女性と少女に対する暴力を無くすことを目的に同省と国連人口基金(UNFPA) が共同で取り組んだものです。

 

この施設は「アン・ズオン・ハウス」と呼ばれ、ジェンダーに基づく暴力を受けている女性と少女、またはそのリスクにさらされている人たちに対して必要とされる包括的なサービスを提供します。ヘルスケア、心理的サポート、カウンセリング、社会福祉サービス、緊急時のシェルター、警察の保護、法的支援や患者紹介(リファラル)など、国際基準に照らして、多岐にわたるサポートが行われます。暴力被害者の権利と安全を保障するため、同センターは無料のホットライン電話(18001744)サービスを24時間提供し、暴力の被害者を保護、支援します。

 

労働・傷病兵・社会省のグエン・ティ・ハ副大臣は、タインホア省で開かれたセンター開所式の冒頭挨拶で、アン・ズオン・ハウスの開設が時宜にかなっているとして、「アン・ズオン・ハウスは、被害者を中心に据えたアプローチを通して暴力の問題を専門的かつ被害者に寄り添った形で解決することを目標にしています。暴力被害者を支援するだけでなく、関係する省庁、セクター、組織の介入、責務、そしてより良い連携を強化する上で、重要な役割を担っています。アドボカシーやコミュニティーの行動変容を通して、女性や少女に対する暴力行為を未然に防ぎ、反対することにも貢献していきます」と述べました。

 

最初のワン・ストップ・サービス・センターは、韓国国際協力団(KOICA)とのパートナーシップによるUNFPAの技術面および資金面の支援を受けて、クアンニン省に最初に設立されました。2020年4月に事業を開始し、暴力の被害を受けた300人以上の女性や子どもを保護しています。同センターの無料の24時間ホットライン電話は、毎月1,000件以上にのぼる相談を受けています。

 

タインホア省のセンターは、クアンニン省のモデルケースを再現したものです。今回、日本政府の支援を受けて、暴力被害者だけでなく、暴力のリスクにさらされている女性や少女のニーズを満たすため、2022年第一四半期にホーチミン市とダナン市にも同様のセンターが設立される予定です。

 

UNFPAベトナム事務所長の北原直美は開所式で、女性や少女に対する暴力をなくすためのベトナム政府の取り組みにUNFPAとして貢献できることは光栄だと表し、「暴力や女性と少女に対する行為を終わらせることは、UNFPAが掲げる戦略計画の中で、革新的成果の3本柱の一つに位置付けられています。ベトナムにおいてUNFPAはこれまで、女性と少女に対する暴力を終わらせる道のりで、ベトナム政府、特にMOLISAと緊密に連携を取って参りました。今回のセンターの開設は、ベトナムの最も弱い立場にある人々を含む全ての女性と少女が暴力を受けず尊厳を持って生活する権利を持つことを保障するために、私たちが協力した結果の一つです」と述べました。

 

UNFPAの支援を通して、500人以上のサービス提供者が、ベトナムで暴力を受けた被害者に対してケアやサービスを提供するための研修をすでに受けています。また、十分に調整が図られた地方政府のシステムによって、被害者のケースマネジメントが強化され、各関係セクターのケアに関する基準も構築されました。

 

日本政府は、特にコロナ禍で明らかになったベトナムの女性や少女に対する暴力の防止と対応に関してUNFPAとMOLISAの不断の努力に敬意を表しました。また、タインホア省のアン・ズオン・ハウスの設立への資金援助を通して、ベトナムの新型コロナの負の影響を軽減することに貢献できるのは喜ばしく、それにより確実に全ての人が国の持続可能な開発のプロセスの一部を担っているとの見解を示しました。

 

補足事項:

2019年にUNFPAが支援したベトナムの女性に対する暴力に関する調査では、女性のおよそ3人に2人(62.9%)が、生涯において身体的、性的、精神的および経済的暴力ならびに夫による抑圧的な態度のうち少なくとも一つを経験していたことが明らかになっています。さらに、夫からの身体的、性的暴力を経験した女性の半数が、誰にも相談せず、暴力を受けた女性の9割は必要な支援を受けずにいると報告されました。これらのデータが示すように、ベトナム社会では女性に対する暴力の問題が表面化せず埋もれたままになっています。

 

コロナ禍で、女性に対する暴力は全世界的に悪化しており、ベトナムも例外ではありません。UNFPAが支援するクアンニン省のホットライン電話の受信件数は新型コロナの影響で2~3倍に膨れ上がっています。また、UNFPAが同様に支援するベトナム農業組合のホットライン電話は、2021年11月20日から12月31日までの開設後わずか40日間で、すでに2,600件以上の相談を受けています。

 

本文は当該ニュースを、駐日事務所にて独自に翻訳・編集したものです。

 

問い合わせ先:

ベトナム労働・傷病兵・社会省 ジェンダー平等部門

グエン・ベト・ハイ (Ms.)

メール:hainv@molisa.gov.vn | 電話番号:0983 084 703

 

UNFPAベトナム事務所 コミュニケーション部門

ディン・トゥ・フォン (Ms.)

メール:dhuong@unfpa.org | 電話番号:0913 301 539