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UNFPA 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急対応

UNFPA 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急対応

UNFPA 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急対応

女性、少女、妊産婦、高齢者

誰一人取り残さないために

COVID-19の高齢者への影響

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の世界的流行により、医療システムに負担がかかり、移動制限や屋内退避命令など各国政府による前例のない対応がなされています。

 

こうしたCOVID-19のような危機は、女性と少女に深刻な影響を及ぼしています。世界の医療従事者の70%、家庭や地域社会における介護分野の大多数は女性が占めていますが、その女性たちは今、不平等や障壁に苦しみながら、COVID-19に対する不可欠な業務に従事しています。また、妊産婦や高齢者への影響も甚大です。

 

このように、COVID-19の流行は、女性、少女、高齢者などの脆弱な人々と、そうでない人の格差をより一層浮き彫りにしました。

 

これに対しUNFPAは、性と生殖に関する健康サービスの継続や、ジェンダーに基づく暴力への対策などの支援を実施しています。持続可能な開発目標(SDGs)実現のために、UNFPAは2030年までに3つのミッションを掲げており、COVID-19への対応においてもこれらのミッションに則って、政府機関やパートナーと連携しながら活動しています。しかし現在、COVID-19により活動が後退してしまうリスクを抱えています。

 

UNFPAの3つのミッション

 

 


 


COVID-19が女性や少女の健康にもたらす影響

COVID-19の世界的な大流行により、家族計画サービスへのニーズが満たされなかったり、望まない妊娠、ジェンダーに基づく暴力、女性性器切除(FGM:Female Genital Mutilation)や児童婚などの有害な慣習に直面する女性が、今後数か月で何百万人も増加する可能性があります。

UNFPAは、COVID-19 の流行が、女性や少女の健康に深刻な影響をもたらすという予測(2020年4月)を発表しました。国連も、COVID-19の女性への影響に関する報告書(2020年4⽉/英語日本語)を発出しています。

 

UNFPAが発表した調査によると、ロックダウンが少なくとも6か月間続いた場合、ジェンダーに基づく暴力が3,100万件増加します。実際にコソボでは、ジェンダーに基づく暴力の報告件数が17%増加、また、ある都市では昨年に比べ2倍に増加したという報告もあります。こうした増加の背景には、外出制限により長期に渡り家族全員が家で過ごす時間が長くなり、家庭内での緊張が高まることが考えられます。

例えば、ナイジェリアのある女性は、夫に資金面での援助を求めたところ暴力を受けたとのことです。また、他の女性の例では、女性支援の非営利団体からの財政支援でその女性が購入したヤギを、夫が勝手に売ってしまい、その理由を夫に尋ねると暴力をふるわれたとのことでした。日本でも外出自粛等の影響で起きたDVのケースが報告されており、内閣府によるDV相談体制の拡充が行われています。

 


COVID-19が妊産婦にもたらす影響

妊産婦は感染への不安の中で、出産・育児をしなければなりません。さらに、COVID-19の流行によって医療施設が閉鎖されたり、多くの女性が感染への恐れや外出制限のために医療施設に行きにくい状況になっています。産前産後や出産時に適切なケアを受けられないと、妊産婦や赤ちゃんへのリスクは高くなります。

UNFPAは、妊産婦を守る助産師をCOVID-19の最前線で闘うヒーローとして称賛し、個人防護具の供与などの支援をしています。また、UNFPAはCOVID-19妊産婦と授乳期の女性に関する声明文(2020年3月/英語)を発表しています。

 

紛争中のイエメンでは、妊が適切な出生前ケアを受けることができずにいました。町の医療機関に行くためには、紛争に巻き込まれるリスクを抱えながら数時間も歩く必要があったからです。しかし、彼女がケアを受けられなかった理由はそれだけではありません。世界のCOVID-19感染拡大をテレビで知り、医療機関に行くとお腹の赤ちゃんに感染してしまうのではないかという恐怖もあったからです。

 

彼女はその後無事3つ子を出産しました。出産の喜びとともに、世界でCOVID-19感染が拡大する中で育児をしていくことへの不安も抱えています。特にイエメンのような紛争国では、紛争とCOVID-19感染への不安を、お母さんが一気に背負っていくことになります。

 

 


COVID-19が高齢者 にもたらす影響

UNFPAは、COVID-19流行下で高齢者を守るために行っている対策などをまとめたガイダンス(2020年4月/英語)を作成しました。この文書の中で、韓国・イタリア・オランダにおける70-79歳の人々のCOVID-19による死亡リスクが大幅に上昇していることが示されています。80歳以上の年齢層ではさらに劇的にリスクが増加しています。

高齢者は、COVID-19感染により重症化するリスクが高く、また家族や介護者からネグレクトや暴力を受けたり、孤立するといったリスクが、国連作成の政策概要(「COVID-19の高齢者への影響」(2020年5月/英語))で指摘されています。また、アントニオ・グテーレス国連事務総長は高齢者に関する政策概要の発表に寄せるビデオ・メッセージを発信しています(2020年5月/英語(日本語字幕))。

また、ロックダウンや外出規制で「動かない」状態が続くことにより、心身の機能が低下することも懸念されています(「新型コロナウイルス感染症への対応について(高齢者の皆さまへ)」(厚生労働省ウェブサイト))。

 

COVID-19が高齢者にもたらす影響の詳細はこちら

 


UNFPAのCOVID-19への取組み

UNFPAは、保健システムが脆弱な国々を対象にCoronavirus Disease (COVID-19) Pandemic UNFPA Global Response Plan(2020年6月/英語)という戦略計画(2020年6-12月計画)の下、COVID-19に対応しています。この計画は、2020年4月に発表したCOVID-19戦略計画を改訂し、ジェンダーに基づく暴力への対策、若者のニーズへの対応、データに関する部分を特に強化しました。
この計画では3つの優先事項に基づき活動を実施しています。

 

 

① 性と生殖に関する健康サービスや取組みの継続

  • 保健システムの強化
  • 医療人材の確保
  • 医療従事者を保護する上で必要な医療物資の調達・供給など

ジェンダーに基づく暴力や有害な慣習への対策

  • ジェンダーに基づく暴力の被害者やその危機下にある女性を対象に紹介サービスの提供
  • ホットラインや遠隔サービス(バーチャルチャットグループ等) の対応能力の強化
  • ソーシャルメディアやテレビ・ラジオを活用したジェンダーに基づく暴力に関する情報提供
  • シェルターの設置支援など

現代的な避妊具・薬や周産期医療用物資の供給確保

  • 必要物資の在庫確認、価格や到着遅延等の把握
  • オンラインでの避妊に関するカウンセリングの実施など

●UNFPAは他の国連機関と協調し 一丸となってCOVID-19に対応しています

国連全体では、人命を救い、人々を守り、より良い復興を目指す取組みに不可欠な3つの指針の下で、COVID-19に対応しています。UNFPAのCOVID-19への取組みは、これらの指針と連携・協力して行われています。 

 

国連全体での3つの指針

指針①「COVID-19への即時の社会経済対応に向けた国連枠組み」(2020年4月/英語)

    UNFPAは世界保健機関(WHO)と共に、この枠組みの保健分野の作成を担当しました。

指針②WHOが主導する医療対応(2020年4月/英語)

指針③:「COVID-19グローバル人道対応計画(改訂版)」(2020年5月/英語)

    世界で最も脆弱な国々におけるCOVID-19対応のため、

    国連全体で67.1億ドルの資金が必要とされています。

 

【「新型コロナウイルス感染症に対する人口脆弱性ダッシュボード」が完成】

UNFPAは、準備と対応に焦点を絞って救命を支援することを目指し、COVID-19に対して脆弱な人々に関する有益な情報を掲載した双方向性ツール、「COVID-19 人口脆弱性ダッシュボード(英語)」を作成しました。詳しくはこちらからご覧下さい。

 


UNFPAは COVID-19と闘う現場の最前線にいるヒーローを支援しています

UNFPA は、世界中の医療現場で、特に女性の健康と命を守っているヒーローを応援し全力で支援しています。

 

●医療従事者

医療従事者は、COVID-19を封じ込めるために重要な役割を果たしています。COVID-19と闘うイランの女性医療従事者もさまざまな犠牲を払い、未曾有の事態に立ち向かっています。彼女たちは自らとその家族の私生活を犠牲にしても、愛するイランのための努力を惜しみません。その原動力は、愛であると誇りを持って語っています。

 

●助産師

助産師は、COVID-19流行前から、最前線で新たな命を守っています。しかし個人防護具などの不足から、助産師は自らも感染のリスクにさらされています(バングラデシュの事例はこちら)。イランでは、3人の助産師がCOVID-19により命を落としました

5月5日の国際助産師の日に合わせて、UNFPAは、自らの命を懸けて新たな命を守る助産師を称賛し、世界中の政府やパートナーに助産師の安全と健康を守るよう呼びかけました。また、アジア太平洋地域事務所は、地域内の助産師の役割の重要性をテーマにしたオンラインイベントを実施しました。

 

 

 


各国での具体的な取組み紹介

イエメン 産婦人科施設におけるCOVID-19感染対策のための物資供与

セルビア 高齢者の孤立防止支援

リベリア エボラ出血熱の経験を活かした接触者追跡

トルコ 季節労働者のテント訪問による健康チェックと情報提供

ベトナム 母子保健関連施設への感染予防資の供与

フィリピン 最前線の医療者への個人防護具の提供

コソボ ジェンダーに基づく暴力の被害者を保護するシェルターへの支援

スーダン 安全ケアを提供するための医療従事者トレーニングの支援

ガーナ ジェンダーに基づく暴力のホットライン設立の支援

ウクライナ 家庭内暴力の被害者の相談ホットライン

ベネズエラ/ブラジル 難民や移民への支援

ジョージア 育児における男性の関与促進

 

UNFPAで働く日本人職員も、COVID-19対応に尽力しています。

増田智里(UNFPAスーダン事務所)
丸山真里奈(UNFPAザンジバル事務所)

 


ご寄付のお願い

UNFPAは皆さまのご支援を必要としています

病院でも家庭でも、女性は最前線でCOVID-19 と闘っています。しかし今、COVID-19の流行拡大により、COVID-19患者を介護・看護する女性たちに負荷がかかり、また、彼女たちも感染のリスクにさらされています。それだけでなく、COVID-19は、女性に対する暴力を増加させ、女性を貧困状態に追い込み、必要なサービスさえ入手できなくする「不平等」という病とも言えます。

 

このウイルスの撲滅のためには、女性の健康と権利を保護する必要があります。女性が自身の身を守りながら、その役割を遂行するために不可欠な物資を供給し、支援する必要があります。

 

UNFPAは、COVID-19流行下で女性の健康と権利を保護するため、COVID-19戦略計画を実施しています。この実施のために必要な資金は、2020年6月時点で3億7000万ドルと試算されており、ドナーに対し支援を呼びかけています。

しかし、2020年6月初旬時点では、必要な資金のうち9350万ドルしか確保できておらず、残り2億7650万ドルの資金が必要です。こうした対応は、皆様のご支援があってこそ可能となります。

UNFPAは一般の方からの寄付を受け付けています。皆様からのご支援をお待ちしています。

新型コロナウィルス感染拡大  緊急支援 へのご寄付はこちらから

皆様の寄付で、以下のような支援が可能になります。

  

 


人権とCOVID-19

COVID-19パンデミックのような危機下において、人権を後回しにしてはなりません。

女性や少女、妊産婦、高齢者への支援に加えて、UNFPAは、障害を持つ人々への支援も行っています。

難民キャンプに暮らす人々は「身体的距離」をとりにくい状況にあります。移民にはCOVID-19に関する情報が十分に届いていないことがあります。UNFPAは、難民や移民など人道危機下にある人々への支援も行っています。

LGBTQI (レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア、インターセックス)の人々も、COVID-19のパンデミックによりさらなる危険に直面しています。

また、世界では、特定の人をヤリ玉にあげたり、デマを流布したりする行為が横行しています。例えば、移民や難民はウイルスを持ち込むと誹謗中傷され、医療へのアクセスを拒否されています。高齢者に対して、真っ先に犠牲となるべきだという卑劣な画像投稿も現れています。国連では、このようなCOVID-19関連のヘイトスピーチに関して、ガイダンス(2020年5月/英語)を発表しています。

アントニオ・グテーレス国連事務総長はビデオ・メッセージ(2020年4月/英語・日本語字幕)の中で、人権を尊重する重要性を改めて呼びかけています。

 

 


COVID-19関連ページ

●日本語(駐日事務所ウェブサイト)

新型コロナウィルス感染拡大 <お母さんと赤ちゃんを守る緊急支援 >ご寄付をお願いします

新型コロナウイルス感染症が女性の健康にもたらす深刻な影響

UNFPA事務局長ナタリア・カネムとOCHA緊急援助調整官マーク・ローコックの寄稿記事

若者が立ち向かうCOVID19キャンペーン #YouthAgainstCOVID19

声明文5月5日「国際助産師の日」に寄せて―事務局長ナタリア・カネム

声明文5月17日「多様な性にYESの日(国際反ホモフォビア/トランスフォビア/バイフォビア・デー)」に寄せて―UNFPA事務局長ナタリア・カネム

声明文5月23日「産科フィスチュラ撲滅国際デー」に寄せて ―UNFPA事務局長ナタリア・カネム

 

●英語(本部ウェブサイト)

UNFPA本部COVID-19特設ページ

COVID-19: A Gender Lens   

Modern Contraceptives   

GBV and Coronavirus 

Maternal and Newborn Health & COVID-19 

Young People & Coronavirus    

Implications of COVID-19 on Census

COVID-19 Technical Brief for Maternity Services   

COVID-19  Frequently Asked Questions

 

●メディア記事

【5月26日】「インドネシアで出生率増か 新型コロナで外出恐れ避妊薬購入減」という記事がSankeiBizに掲載されました。

記事では、各地のロックダウン(都市封鎖)が半年続いて深刻な保健医療の崩壊が起きた場合、世界で4700万人以上の女性が避妊具や避妊薬を手に入れられなくなり、約700万人が望まない妊娠をすることになるという、UNFPAが発表した予測に言及されています。

 

・【5月22日】UNFPA 事務局長ナタリア・カネムとOCHA(国連人道問題調整事務所)緊急援助調整官マーク・ローコックの寄稿記事が、朝日新聞社の言論サイト「論座」に掲載されました。日本語版 / 英語版(無料公開)

「COVID-19への対応では女性・少女の権利を守りニーズに寄り添うことが必要だ」と国際社会の理解と協力を訴えています。

 

・【4月29日】UNFPAが発表したCOVID-19が女性の健康にもたらす深刻な影響について、朝日新聞、NHKで 記事として取り上げられました。