現在地

20211126日ハノイ:国連人口基金(UNFPA)と日本政府が支援する学生向け起業コンテスト「スタートアップ・カイト2021:高齢者と障がいのある人々への支援のためのインダストリー4.0の起業イノベーション」の授賞式が26日ハノイで開催され、最終選考に残った67のアイデアやプロジェクトから受賞6組が発表されました。

 

最優秀賞を受賞したのは、ベトナム・ゲアン省ドイツ大学のファム・ホン・ドンさんとヴィ・ディン・カインさん。二人が製作した知覚障害者向けの高性能な杖が、革新的な製品として選ばれました。二人には、ビジネスとして展開するための資金とともに、レッドスター起業家クラブのメンターによるアドバイスを受ける権利が与えられました。

 

優秀賞は、地元の紋織物製造のための協同組合設立を掲げるトゥエンクアン工学技術職業訓練校の学生らと、抗ウイルスや抗菌作用のあるウイルス抑制光源(UVCライト)をエアコンに組み込むアイデアを考えたホーチミン市リートゥーチョン短期大学の学生らの2組に贈られました。

 

3位には、ダラット職業訓練校、ハノイ技術技能短期大学、カントー大学の各チームが入賞しました。

 

他、30組が期待できるアイデアとして表彰されました。

 

オンラインとオフライン両方で実施された授賞式には、ベトナム労働・傷病兵・社会省(MOLISA)のレ・タン・ズン副大臣、在ベトナム日本大使館の岡部大介公使、UNFPAベトナム事務所所長の北原直美をはじめ、関係各省庁の代表者、全国の様々な職業訓練校の関係者、および民間企業からの代表者が参加しました。

 

「スタートアップ・カイト2021:高齢者と障がいのある人々への支援のためのインダストリー4.0の起業イノベーション」は、日本政府の資金援助を受け、職業教育訓練理事会、MOLISAおよびUNFPAによって、今年6月ハノイにて開始しました。

 

コロナ禍という困難な中でも、コンテストへの応募数は1,500を超え、2020年と比べ一割増となりました。最終選考には、農業および生産、ビジネス、旅行業、機械、応用技術、貿易ビジネス、食品加工、製造業、自動化など様々なテーマに関する課題を取り扱った67組が残りました。

 

MOLISAのレ・タン・ズン副大臣は式典で、学生のコンテスト参加を歓迎し、「UNFPAおよび日本政府の支援のもと、2021年度のコンテストはとても実践的かつ実用的なテーマとなりました。そして、コロナ禍にもかかわらず、全国から様々な職業教育訓練学校より前向きな反応をいただきましたし、応募内容もとても質の高いものでした。本コンテストを通して、生活のあらゆる場面で使える新製品やサービスを開発するため、学生の皆さんがとても革新的で先見の明をもって行動していることを確信しました。今後数年間においても、スタートアップ・カイト事業のためにUNFPAおよび日本政府より変わらぬご支援をいただければ幸いです」と述べました。

 

スタートアップ・カイト事業は国の起業コンテストとして、MOLISAが「2025年までに学生起業家への支援を拡充する」というマスタープランの一環で2020年より実施するものです。この基本計画は、職業教育訓練学校の学生の創造性とダイナミックな発想を育むこと、学生が革新的なアイデアを披露し、ビジネスにおける計画、開発およびマネジメントのスキル、知識や経験を身に付けることができる有益なプラットフォームを構築すること、ならびに官民連携の枠組みの中で民間セクターの高齢者ケア分野へのより深い参画を促すことを目的としています。

 

今回MOLISAUNFPAと共同で実施した2021年度のスタートアップ・カイト・コンテストは、日本政府が拠出するUNFPAのプロジェクト「ベトナムにおけるSDGs達成に向けたCOVID-19の社会的脆弱層に対する影響緩和プロジェクト」の一部です。

 

在ベトナム日本大使館の岡部公使は式典の挨拶で、「2021年度スタートアップ・カイトの最終選考にエントリーされた皆さんは、勇敢にも既存の枠組みにとらわれず考え、その革新的な点において受賞に値します。今後もそれぞれのアイデアを育て、取り組みを継続させてください。そして、学生を支援するための民間セクターのコミットメントは大変重要です。それは、若い世代への投資が正しい選択と言えるからです。日本政府は、ベトナムの若者が実力を発揮できるように、ベトナム政府を支援することを光栄に思います」と述べました。

 

ベトナムでは、人口の高齢化が加速し、現在65歳以上の高齢者は全人口の7.7%を占めています。そして、2036年までに、高齢化が進行する段階から高齢化社会を迎える国となると予測されています。

 

また、新型コロナのパンデミックによって、高齢者や障がいのある人々の(感染症拡大下における)脆弱さと特別なニーズが拡大し、明らかになりました。パンデミック第4波は、ホーチミン市および国内の多くの省や市に大きな打撃を与え、多数の高齢者を含む23,500人が死亡しました。この事実は、新型コロナを克服し、持続可能な開発目標(SDGs)のアジェンダにおいて、誰一人取り残さないことを保障するために、特に一人暮らしや障がいのある高齢者が優先されなければならないことを示しています。

 

UNFPAベトナム事務所所長の北原直美は、人口の高齢化によって高齢者層の支援とケアには一定のコストが掛かるものの、民間セクターにとって新たなビジネスの機会を創出することになると強調。「現在のベトナムはその歴史上若年人口数がもっとも多く、社会的また経済的な成長を促進する効果のある『人口ボーナス』が2039年まで続くことを考慮すると、若者への適切な投資は不可欠です。私たちは、科学技術によって若者と高齢者の世代間の結びつきを促進できると期待しています。このコンテストと共に、今後、デジタル技術を用いたより多くのイノベーションが生まれ、それらがベトナムのSDGs達成への動きを加速する一助となると信じています。UNFPAは、女性、少女、若者や高齢者、障がいのある人を含む社会で最も脆弱な立場に置かれている人々を保護するため、デジタル技術の開発と運用に対して支援し続けることを約束します」と話しました。

 

最終選考に残った67組の参加者には、起業やビジネスプラン構築に関する基礎知識および投資を得るために必要なスキルの習得を目的としたトレーニングとメンタリングの機会が提供されます。

 

受賞者への表彰に先立って、職業訓練総局、フー・タイホールディングス社、およびナム・カウ・キエウ産業公園の三者間で戦略的協調に関する合意書が取り交わされ、職業教育訓練学校の学生による革新的なスタートアップを2025年まで支援することを定めました。

 

問い合わせ先:

UNFPAベトナム事務所 コミュニケーション部門

ディン・トゥ・フォン (Ms.)

dhuong@unfpa.org

 

職業教育訓練理事会 学生関連部門

グエン・ヴァン・コン (Mr.)

congnv@molisa.gov.vn