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「現場*トークシリーズ」の第3回目も、前回に引き続き関西学院大学と共同で開催し、アジア・太平洋地域事務所で人口高齢化と持続可能な開発に関する地域アドバイザーとして勤務する森臨太郎が、「国連人口基金における人口高齢化への取り組み」に関するトークを行いました。

日本は少子化と相まって、世界でも最も高齢化の進んだ社会の一つとなっていますが、高齢化は世界でも急速に進行しています。UNFPAは、人口問題に取り組む国際機関として、性と生殖に関する健康と権利に関する課題、そして人口動態に関する課題に取り組んでおり、その中の一つに高齢化があります。特に2002年のマドリッド国際行動計画に基づき、高齢者と開発、高齢期を通しての健康と福祉の増大、生活環境の整備という3つの柱を通じて、活力があり持続可能な高齢社会を目指しています。また、森が務める“人口高齢化と持続可能な開発に関する地域アドバイザー”は、人口高齢化に特に関心の高いアジア太平洋地域事務所に設けられた、国連人口基金の新設ポストです。

 

これらを踏まえ、森はこれからのUNFPAの人口高齢化への取り組みとして5つの柱を紹介しました。まず、人口高齢化を寿命の延伸と医療の進歩の結果として決してネガティブな側面ばかりではなく、これからは健康寿命と平均寿命のギャップを少なくしていく事を目指すことで、「人口高齢化を前向きに捉える」こと。第2に「客観的な情報を得る」こと、第3にライフコースの選択権や性や生殖に関する権利と健康に基づき、「女性や高齢者の権利を大切にする」こと、そして、第4として、様々な国際機関が人口高齢化に取り組む中で、どの政策分野でどのような活動をしていくのかを、機関横断的に協力し「人口高齢化対策の窓口なる」こと、そして、第5に、健康寿命の基となる生活習慣の確立に最も影響する近しい人との関係性や妊娠・出産などのライフイベントにおける環境の改善、女性の地位向上など「生涯・生殖サイクルを通じた解決」が重要であると述べました。」さらに、「近しい人との関係性が良好であることが、人の幸福と健康に最も影響する」という研究結果も参考にしつつ、「血縁関係や性、物理的な距離によるつながりを超えた、人と人との関係性に基づく新しい定義による『家族』が、老後を幸福で健康に暮らすことにつながる」と提案しました。

このような方針のもと、UNFPAとしては、1)アジア太平洋地域におけるネットワークを構築し、2)人口高齢化・政策カタログなどをまとめ、具体的な地域戦略をまとめたガイドラインを作成し、3)アドボカシーを推進していくといった3つの活動を紹介しました。

 

発表後には、参加者から多くの質問やコメントが寄せられ、特に「新しい家族」の概念について、地域や国ごとに異なる状況に対応する難しさなどの指摘もありました。

多くの皆様にご参加いただきまして、ありがとうございました。