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NGOとの連携

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日本のパートナーNGO


NGOとの連携

国連とNGOの関係

 
©UNFPA

開発・人権・貧困削減・環境対策などの分野において、近年、NGO(非政府組織)の存在感と発言力は世界的に高まっており、現在では国連の各機関も、NGOの存在を抜きに活動を行うことは考えられないまでになりました。国際的に見れば、国連憲章の中で既に市民社会との連携は唱われていましたが、NGOの実力が強く意識され始めたのは1970年代から80年代以降のことで、これと時期をほぼ同じくして、国連としてもより具体的で本格的にNGOとの本格的な連携を模索し始めました。

1972年に、スウェーデンのストックホルムで開催された国連人間環境会議で、初めて「NGOフォーラム」が開かれました。これは、国連とNGOの協調という潮流における、かなり早い時期における象徴的な出来事と言えます。それ以来、人権、人口と開発、女性をテーマにした国際会議でも、同様のフォーラムが開かれてきました。90年代になると、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された環境開発会議に引き続き、1994年にエジプトで行われた国際人口開発会議(ICPD/カイロ会議)でも、国連機関‐政府‐NGOの協力関係が一層強化されました。

国連において、意志決定権を持ち、活動の実行主体となっているのは加盟国政府です。しかし、地球規模の課題について、「国家」という枠にしばられないNGOが、そのような課題に先行して取り組んでいる場合があります。人権や環境といった問題では特に、NGOが国連に先んじて積極的かつ国際的な活動を行っていました。さらに1990年代以降、NGO活動が各国でますます盛んになってきたこともあり、NGOなど市民社会の重要性がますます強く認識されるようになりました。特に、国益の対立や衝突によって、関係者の総合的合意(コンセンサス)が容易に得られないような経済的、社会的に複雑な問題を解決するにあたって、国家の枠組みを超えた提言および活動ができる、地球市民としての発想を持つNGOの役割が期待されています。

また、地球規模問題を解決していくにあたり、各国政府だけでなく、NGOなどの非政府団体や自治体といった様々な活動団体が協力して取り組むべきだという国際的な統治(グローバルガバナンス)の発想が、国際社会に根付いてきています。これも、国連がNGOとの連携強化を不可欠の課題と考えるようになった一つの要因と考えられます。特に開発途上国では、政府の手が行き届かない市民へのサービスを実施したり、人々の権利を代弁するといった機能を、あらゆる規模のNGOが独自に行っています。

国連人口基金とNGO

国連人口基金は、1969年の活動開始時よりNGOとの連携を重視してきました。国連人口基金がその使命である人口問題に取り組む際の実施機関は、(1)開発途上国政府、(2)国連機関、(3)NGOの3つに大別できます。国連人口基金は、とりわけNGOとの協力において、他の国連機関と比べても早くから、多面的かつ緊密な連携を進めてきました。

国連人口基金がNGOと特に深い協力関係を維持してきた理由の一つには、国連人基金の活動と取り組んでいる課題自体の特性にあります。主要な課題としては、性と生殖に関する健康(SRH)、人口と開発、ジェンダー(男女の社会的性差)の平等などがありますが、これらの課題を具体的活動につなげていくために、政府に対する政策提言や、社会全体や人々への啓発活動が重要です。しかし、こうした分野における活動は、時として政治的、宗教的な難しさを伴ったり、あるいは人々の文化的な価値観が問われることにもつながるなど、デリケートな面があります。このため、国や地域において活動の実施を、政府だけに頼ることは、現実的に困難です。そういった意味でも、政府とは異なる独自の主体であるNGOと協調することが大きな意味を持ってきたのです。

国連人口基金は、地域・国レベルでの情報交換を進めながら、開発に向けたプログラムや広報活動、またそれらの方向性などを話し合うための国際会議や協議会においても、NGOと協力しながら関わってきました。国連人口基金第二代事務局長のナフィス・サディックは、NGOがもつ政策提言に向けた啓発活動(アドボカシー)やロビー(根回し)活動の役割を重視し、1994年の国際人口開発会議(ICPD/カイロ会議)開催の際には「準備段階から、NGOの協力と参加なくして国際人口開発会議は成功しない」という立場を明確にしました。これに基づき、各国政府に対して、準備会合も含めて、政府代表団の中に必ずNGOの代表が含まれるように要請も行いました。

2005年9月に開催された世界サミットでは、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するにあたって、市民社会との連携を強化することの重要性が強調されました。また、このサミットで、「2015年までに誰もが性と生殖に関する健康関連のケアやサービスを受けられるようにする」というターゲットがミレニアム開発目標に組み入れられることが決まったのも、NGOが継続的に行ってきた政策提言活動の成果であったと言えます。このような実績を見ても、国連人口基金がNGOと連携することの重要性が、より一層求められてきていることがわかります。

国連人口基金は2007年現在、159の国と地域で活動を実施しています。各国の家族計画、教育、女性のエンパワーメント(女性の能力強化を通じた社会的地位の向上)などの問題を解決するために、NGOとの連携を積極的に推進し、プログラムの実施をNGOに委託する例も増えています。一方、各地域の宗教団体との連携も、問題解決のためには不可欠です。2007年の国連人口基金の一般拠出財源におけるプロジェクト支出額2億7,360万米ドルのうち、パートナーNGOへのプログラム実施委託は、およそ10%にあたる2,730万米ドルでした。国内のプログラムの多くは、国際的に活動する大規模なNGOではなく、各国独自のNGOによって行われることが多く、それは全国ネットワークをもつものから、地域限定型のNGOまで、規模や活動形態は多岐にわたっています。

国連人口基金と協力して活動するNGOは「パートナーNGO」と呼ばれ、その関わり方は研究、政策提言、さまざまなサービスの提供など広範囲に及びます。どのようなNGOがパートナーに適するかは、具体的な活動内容によって異なるため、各国の国連人口基金のカントリー・オフィスや各地域事務所および部局が個別に判断し決定します。

国連人口基金では、開発途上国の組織や機関、コミュニティの能力を強化していくという観点から、開発途上国のNGOとの連携を進めてきました。この結果、パートナーNGOの数は着実に増えています。開発途上国のNGOは、1999年には国連人口基金の全パートナーNGOの四分の一程度でしたが、今では多数派になっています。


日本のパートナーNGO

日本国内に本部をおき、国連人口基金(UNFPA)のパートナーNGOとして活動中の団体をご紹介します(略称のアルファベット順)。

アジアの人口・開発問題の改善に寄与することを目的として1982年に設立された特定公益増進法人の資格を有する法人です。日本およびアジア諸国における人口および開発問題(食料・農業問題を含む)に関する調査研究・啓発活動、アジア諸国の関係機関との情報交換と協力、国際会議・啓発セミナーの開催、出版事業などを実施しています。また、「国際人口問題議員懇談会」(JPFP)の事務局業務及び「人口と開発に関するアジア国会議員フォーラム」(AFPPD)の東京事務局業務を務め、人口・開発問題に関心のある国会議員との強固なネットワークを持っています。2008年には北海道洞爺湖サミットに先立って、国連人口基金との協力で国会議員会議を開催し、その宣言文を議長総括に反映させるなど画期的な成果をあげています。                    

〒105-0003 東京都港区西新橋2-19-5 カザマビル8F
TEL:03-5405-8844  FAX:03-5405-8845
Email:apda@apda.jp
公益財団法人 アジア人口・開発協会

 

公益財団法人 ジョイセフ
(Japanese Organization for International Cooperation in Family Planning, JOICFP)

 
                              ©JOICFP/Reiko Imanishi

人々が健康に生きられる世界をめざして活動するジョイセフは、1968年に設立されました。40年以上にわたり人口、性と生殖に関する健康/権利(SRH/RR)分野の国際協力の活動実績を持つNGOです。国連経済社会理事会の特別諮問資格をもち、国内では特定公益増進法人として認められています。2001年に国連人口賞を受賞しました。

アジア・アフリカ・中南米地域において、地域住民が主体となる健康向上活動、収入づくりなどと組み合わせる手法のプロジェクトは、国際的に高い評価を得ています。

国内での広報・啓発・提言活動への取り組み、政府や国際機関、企業、NGOとの連携、さらにイベントや研究会の開催、調査・研究、教材制作、人材養成、国際協力推進キャンペーンなど多彩な事業を展開しています。

〒162-0843 東京都新宿区市谷田町1-10 保健会館新館
TEL:03-3268-5875  FAX:03-3235-9774
Email:info@joicfp.or.jp
公益財団法人ジョイセフ