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国連人口基金(UNFPA)はスーダン西部のダルフルで発生した紛争により難民化した何千の人々に対して、安全な出産のための器具、輸血器具、性感染症予防の医薬品やその他リプロダクティブ・ヘルス関連用品を急送した。また、国連が2日に発表した3010万ドルの諸機関合同要請の一部として、国連人口基金は緊急保健医療支援を隣国チャドに避難した11万人のスーダン難民に提供できるよう、ドナー国に25万ドルを要請している。

スーダン国内では、国連人口基金は国際救済委員会(International Rescue Committee, IRC)、セーブ・ザ・チルドレン・UK(Save the Children UK)やアイルランドの団体ゴール(GOAL)を通してリプロダクティブ・ヘルス用品を難民キャンプや保健医療施設に配付している。また、スーダンで活動する国連人口基金のチームは、フランス・ベルギー・オランダの国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres, MSF)とともに、難民に対するジェンダーに基づく差別の防止・ケアにあたっている。

昨年から事態が悪化している紛争により、隣国のチャドには11万人以上のスーダン難民が避難している。国連人口基金はチャドにもリプロダクティブ・ヘルス用品や器具を送るいっぽう、妊産婦や乳児の死亡率、性感染症の感染件数や望まない妊娠の数を減らすため、諸機関合同要請の一部としてドナー国に25万ドルを新たに要請した。さらに、国連難民高等弁務官(UNHCR)や実施パートナーのMSFベルギーとケア・カナダ(CARE)と連携することにしている。

チャドにいる難民のうちの75%が女性である。難民生活では妊産婦や新生児が妊娠・出産による合併症で命を落とす危険性が高くなるが、その理由は緊急産科ケアへのアクセスが困難になり、栄養失調や伝染病にかかるリスクや非衛生的な状況の中での出産が増加するためである。性暴力やHIV/エイズを含む性感染症の蔓延も、社会不安や人口移動に伴い増加傾向をみせる。

こうした問題に対処すべく、チャドにいるスーダン難民への国連人口基金が要請した支援資金の用途は以下のとおりとなっている。

•被害者に対するサービスの提供や地域社会を安全な難民キャンプの構築に参加させることで、性暴力を防止し、その被害に対応する。
•保健医療分野のパートナーと連携しながらユニバーサル・プリコーション(普遍的予防策)を実施し、安全な輸血を可能にし、コンドームを無料で提供することでHIV感染を抑える。
•妊娠第3期にある妊婦全てに安全な出産器具を提供し、保健医療施設における出産が安全で衛生的であることを保証し、また、出産時に緊急事態が発生した際の病院照会制度を構築することで新生児・妊産婦の死亡及び病気を防ぐ。