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公益財団法人日本ユニセフ協会主催の「第20回 国際協力講座 2021」で、国連人口基金(UNFPA)東京事務所長の佐藤摩利子が3月3日、「リプロダクティブ・ヘルスと生まれる命ー人口問題にどう取り組むか」と題した講義を行いました。コロナ禍でオンライン開催となった今講座には、全国各地から高校生、大学生、社会人を含む約230名が受講。女性の健康・権利とジェンダー平等の視点から、女性の社会的なエンパワーメントに至るまで、幅広い視点で「女性」について考える講座となり、受講生からは「刺激を受けた」、「勇気づけられた」などの感想が寄せられました。

 

講義では、国連人口基金が重点分野に掲げるリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康・権利)の推進や持続可能な開発目標(SDGs)の達成を中心に、妊産婦死亡児童婚FGM(女性性器切除)などの女性の健康と権利を害する課題について取り上げました。さらに、コロナ禍でこのような有害な慣習が急増しており、格差と不平等が増幅されている現状などについて解説しました。

 

講義の後半では、佐藤自身の国連職員としての仕事にも話が及び、バックグラウンドに触れながら、秋田で「おなごに教育はいらね」と父親に言われながら育ったエピソードを紹介。佐藤は、この言葉とジェンダー格差に反発しながら、「おなごでもできる」を証明するように、自力で学費を貯めて勉学に励み、国連職員になった決して「エリート」ではないキャリア形成について経験を伝えました。

 

最後に、国際協力の世界を目指す受講生に対して、キャリアアドバイスとエールとして、Mission(使命)とPassion(情熱)を持って仕事に向き合うことが大切だというメッセージが伝えられました。また、講義中や終了後の交流会では、ジェンダー平等に関する多くの質問が寄せられ、受講生の興味・関心に応えながら行われた講座となりました。受講後のアンケートからは、世界中で弱い立場に置かれている女性や少女をとりまく環境に驚いたという声や、その具体的な解決プロセスに興味を抱き、いい刺激を受けたというコメントが多く寄せられました。

 

「私は母子家庭で育ち、周りに英語を話せる人や修士課程(大学院)に進んだ人もいない中で、世界で活躍するなんてできないのではと思っていました。しかし、佐藤さんはそんな私に希望をくれました。私は今後、自分の知識や経験を活かし、すべての人々のリプロダクティブ・ヘルス/ライツを実現するという夢を追いかけていきたいです」という感想も寄せられました。

 

佐藤は「今回の講義が、将来国際協力の道を志す数多くの受講生にとって、勇気づけるものになったようで嬉しく思います。世界が直面している人口問題、リプロダクティブ・ヘルス、ジェンダーに基づく暴力などについての学びがあり、自分の身近なジェンダーに関わる問題についても考えるきっかけとなればと願っています。そして皆さんの夢の実現やキャリア形成を心から応援しています」と話しました。