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アフリカの国ニジェールの南部に住むカブラさん(25歳)は15歳で結婚し、3人の子を産みました。

しかし、2人を亡くし、3人目の出産の時、荷馬車で病院に着くまで2日間も陣痛で苦しんだために、「フィスチュラ(産科ろう孔)」という病気になりました。長い時間圧迫されたために、産道に穴が開いてしまったのです。多くの場合、お母さんは排せつをコントロールできなくなり、失禁症(おしっこを漏らしてしまう症状)に悩まされます。

おなかの赤ちゃんも、酸欠で死んでしまうことがほとんどです。カブラさんは夫に見捨てられ、近所の人たちにも軽べつされてしまいました。

本来、フィスチュラは予防も治療もできる病気です。しかし、世界では20万もの人がフィスチュラで苦しんでいます。特に途上国では、出産のためにお医者さんにかかる習慣がなかったり、病院が遠かったりします。また、病院の設備が整っていないこともあります。約三万円の手術費を払うのも大変です。女性への教育が普及していないので、読み書きができない妊婦さんが病気の正しい知識を得ることもできません。

国連人口基金は、2003年から全世界でキャンペーンを始めました。助産師の育成や病院への支援、手術を受けた女性が社会復帰できるよう経済的援助をしています。その結果、2008年だけでもニジェール国内で387人の女性を助けることができました。

カブラさんはこの助成金で手術を受け、フィスチュラが治りました。自立支援で牛を買い、生活もできるようになりました。

UNFPA発 世界の声が聞こえますか?第4回 『若い妊婦に救いの手 手術や社会復帰を経済援助』(ニジェール)(1)

手術でフィスチュラが治ったカブラさん ©UNFPA

◆親子で考えよう◆
体を傷つける文化や習慣を、どう思いますか?

掲載:朝日小学生新聞(2009年2月28日号)