現在地

2022112日、フィリピン・マニラ 国連人口基金(UNFPA)は、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大に加え、ビサヤ地域とミンダナオ地域を襲った台風22号(フィリピン名:オデット)の爪痕が、妊産婦、高リスク妊娠の女性、ジェンダーに基づく暴力の被害者らに大きな影響を及ぼすことを懸念しています。

 

多くの医療施設ではすでに対応能力が限界に達しており、分娩のために病院を訪れた女性たちがそのまま送り返されているとメディアでは報じられています。 新型コロナウイルス感染症の患者で病院の収容能力がなくなるなか、さらに病院の閉鎖やロックダウンが起きた場合には、サポートを必要としている人たちがますます多くの重要な医療・保護サービスから切り離され、妊産婦とこれから生まれてくる命を大きな危険にさらすことになります。

 

ロックダウンと基本的な社会サービスの中断は、家庭内暴力の被害者を、加害者と一緒に長時間同じ場所に閉じ込めることになり、被害者は逃げ場を失ってしまいます。世界的にみて、家庭内暴力を含むジェンダーに基づく暴力は、危機や緊急時に増加する傾向があります。パンデミックも例外ではありません。

 

フィリピン国家統計局の市民登録データは、2020年に出産に伴い死亡した妊産婦が推計で30%増加したことを明らかにしており、2021年の予備データは同じ傾向が続くことを示しています。意図しない妊娠も最大42%まで増加する可能性があります。 2020年初頭にUNFPAが行った分析では、過去数年と比較して、より多くの女性が自宅で出産したことが明らかになりました。例えば、マニラ首都圏では、20211月に自宅で出産した女性の数は、パンデミック前の2020年の同時期と比較して3倍になりました。

 

UNFPAは政府とそのパートナー機関に対して、呼新型コロナウイルス感染症急増の最中にあっても、妊娠中の女性、授乳中の女性、家庭内暴力の被害者のニーズを対応の中心に据えるよう呼びかけています。そのためには、命を守るために欠かせないリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)とジェンダーに基づく暴力への対応と予防に関するサービスの継続が必要です。新型コロナの陽性か陰性かにかかわらず、妊産婦の分娩に対応可能な医療施設が提供されるべきです。家族計画とジェンダーに基づく暴力への対応に関して、女性と少女のニーズに応えるため、ホットライン(ヘルプライン)を開いたままにしておくよう働きかけています。

 

「コロナ禍と台風22号の救援活動を通して、女性と少女が妊娠と出産を安全に行えるようリプロダクティブ・ヘルスに関するサービスへのアクセスを確保し、家庭内暴力からも保護されるよう、迅速かつ協力して行動する必要があります」と、 UNFPAフィリピン代表のレイラ・ジュダーンは話しています。

 

メディアのお問い合わせ:

Lourdes Gordolan, UNFPA Philippines: gordolan@unfpa.org 
 
寄付のお問い合わせ:
Gerran Navarro, UNFPA Philippines: navarro@unfpa.org
 
本文は当該ニュースを、駐日事務所にて独自に翻訳、編集したものです。