本日7月11日は、「世界人口デー」です。これは、1987年7月11日に、国連がユーゴスラビア(当時)で生まれた男の子を50億人目と認定したことに基づき、世界の人口問題に対し関心を深めてもらうために制定された記念日です。
UNFPA事務局長ナタリア・カネムは、7月11日「世界人口デー」に際し、以下の声明文を発表しました。
世界の平和は家庭から
女性と少女の健康と権利を守るーコロナ禍の渦中においても
私たちの世界の平和は、家庭の平和から始まります。
国連事務総長は、ジェンダーに基づく暴力を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中に起こる“もう一つのパンデミック”と呼び、その世界的な「停戦」を呼びかけた際に述べました。3人に1人の女性が、一生のうちに身体的または性的暴力を経験しています。現在、各国でロックダウンが導入され、家庭内の緊張感が高まったことで、ジェンダーに基づく暴力が増加しています。また、COVID-19対応のため保健システムに負荷がかかり、性と生殖に関する健康サービスが制限されている状態です。
COVID-19による危機は、世界中のあらゆる場所において、人々、コミュニティ、経済に甚大な被害を引き起こしています。しかし、すべての人が同じように影響を受けているわけではなく、女性と少女たちが最も被害を受けやすいということがわかっています。
COVID-19による影響は、UNFPAの活動の中心である「3つのZERO(ゼロ)のミッション」(避妊具・薬に関するアンメット・ニーズをZEROに、予防可能な妊産婦の死亡をZEROに、女性や少女に対するジェンダーに基づく暴力と有害な慣習をZEROにする)を2030年までに達成するための、世界的な取組みを妨げる可能性があります。 例えばUNFPAは、パンデミックにより今後10年で、ジェンダーに基づく暴力の撲滅へ向けた世界的な取組みの成果が、少なくとも3分の1は後退するだろうと予測しています。さらに、移動制限が6か月間続き保健サービスに関する深刻な崩壊が起きた場合、低・中所得国の4,700万人もの女性が近代的な避妊具・薬を入手できなくなり、700万もの望まない妊娠が起こると予測されています。
この世界人口デーに際して、私たちはCOVID-19危機下における女性や少女たちの脆弱性とニーズに関心を寄せるよう呼びかけます。また、特にこのような危機的状況では、性と生殖に関する健康と権利を守ることと、ジェンダーに基づく暴力という陰のパンデミックを根絶することがなぜ重要なのかについても呼びかけていきます。
UNFPAは、近代的な避妊具・薬やリプロダクティブ・ヘルスに関する物資の供給を維持し、助産師をはじめ医療従事者の安全のために、必要な個人防護具を確保するために活動をしています。
これまでに146の加盟国が、家庭内の平和を実現するという国連事務総長の呼びかけに対して支持を表明していることを心強く思うと同時に、これらの国々を支援するために連帯しています。COVID-19への対応の一環として、私たちはホットラインや、遠隔診療、カウンセリングなど、遠隔サービスの提供を取り入れ、政府が、最も支援を必要としている人々を特定し支援を届けることができるよう、細分化されたデータの収集・活用を行っています。
ジェンダー平等に関するポジティブな広報活動を行い、ジェンダーに関する固定概念や有害な社会規範に抗議することで、暴力のリスクを減らすことができます。その過程において、男性や少年は重要な協力者となることができますし、また、そうであるべきです。
性と生殖に関する健康サービスは権利であり、妊娠や出産と同様、人権はパンデミックのために蔑ろにされるべきではありません。今こそ、COVID-19の拡大に歯止めをかけ、女性や少女たちの健康と権利を、共に守りましょう。
どんな組織や国であっても、それを単独では成し遂げられません。このパンデミックは、国際協調がいかに重要かをはっきりと認識させてくれました。今年75周年を迎える国連は、国際課題の解決のため、国際協調を促進させるために設立されました。国際社会がこのパンデミックを乗り切るために結束すれば、すべての人にとってより強靭でジェンダー平等な社会と、より健全で豊かな未来の礎を、築くことができるのです。
原文(英語)はこちら
●UNFPAは、人類が直面している人口問題に、単なる「数」の問題ではなく、一人ひとりの「尊厳」に関する問題として取り組んでいます。是非、UNFPAが6月30日に発表した世界の人口問題の進捗や潮流についてまとめた「世界人口白書2020」もご覧ください。
●「世界人口デー」に寄せたアントニオ・グテーレス国連事務総長によるメッセージはこちら
【メディア記事】
●「世界人口デー」に際し、UNFPAの寄稿記事が朝日新聞社の言論サイト「論座」に掲載されました。日本語版/英語版(無料公開)
●ELLE girl、日本農業新聞、FRONTROWで「世界人口デー」を記事として取り上げていただきました。
【関連情報】
・UNFPA 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急対応
・新型コロナウィルス感染拡大 <お母さんと赤ちゃんを守る緊急支援 >ご寄付をお願いします
・#若者が立ち向かうCOVID19キャンペーン #YouthAgainstCOVID19