11月25日は「女性に対する暴力撤廃の国際デー」です。
女性と女児に対する暴力は、世界で最もよく見られる人権侵害の1つです。女性に対して身体的、性的、若しくは心理的な危害又は苦痛となる行為、あるいはそうなるおそれのある行為を指します。社会的階層、経済状況、国を問わず、全世界でジェンダーに基づく暴力の被害が発生しています。
全世界で、約3人に1人の女性が、生涯に身体的または性的虐待を経験しているとされています
UNFPA事務局長ナタリア・カネムは、11月25日「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に際し、以下の声明文を発表しました。
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暴力に「もうたくさん」と声を上げるために立ち上がりましょう
「もう、たくさんだ!」
女性と少女たちに対するあらゆる形態の暴力に対して、今日から私たちが声を上げるべきです。
家庭内暴力は、もうたくさんだ。レイプも、もうたくさんだ。女性性器切除(FGM)のような有害な習慣にも、もうたくさん。そして、この目に余る人権侵害が罰せられることなく世界中に蔓延するのも、もうたくさんだ。
女性や少女たちにはどこにいようとも、暴力にさらされることなく生きる権利があります。家庭でも、公共の場でも、ネット上でも平和に暮らす権利があるのです。
今日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に際し、皆が一旦立ち止まり、この問題の解決までまだどのくらいかかるのか見極める必要があります。今もなお、3人に1人という驚異的な数の女性と少女が生涯のうちに暴力の被害にあっています。
今年、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大によって、この状況はさらに悪化しました。ロックダウンにより家庭内のストレスが高まり、虐待者と一緒に家に閉じ込められた女性たちからの助けを求める声が急増しました。しかし、その多くは聞き届けられないままです。これはロックダウンにより保護シェルターやその他の支援サービスが停止されたためだけではありません。彼女たちへの支援が、この人道危機下であっても、未だに十分ではないからでもあります。
私たちはこの状況を改善していかなければなりません。
「女性に対する暴力撤廃の国際デー」のこの1日だけではなく、1年間、365日、暴力に対して「もうたくさん」と声を上げる時が来たのです。私たちは暴力を防ぐために行動しなければなりません。そして、暴力が無くなるまで、女性と少女たちが暴力の被害を乗り越え、立ち直るために、精神的ケア、医療、法的支援、その他、彼女たちの生活を取り戻すために必要とされるすべてのサポートを提供する必要があります。
130カ国以上の国々で、UNFPAは、女性と少女たちに対する暴力の根絶のため、そして被害を受けた女性や少女たちを支援するために、たゆまぬ努力を続けています。2019年、UNFPAは76万人以上の暴力の被害者に医療や心理社会的支援サービスを提供しました。2020年10月までに、私たちの予防と対応の取り組みは人道危機下にある280万人の女性と少女たちに手を差し伸べてきました。
それでもなお、国際社会からのさらなる支援が求められています。COVID-19の流行は、私たちにこれまでとは異なる考えの下行動する必要がある事実を、痛切かつ教訓的に示しました。暴力には「もううんざりだ」と声を上げることは最優先事項です。まずは暴力がいかに私たちの暮らすあらゆる社会に蔓延しているか認識し、暴力を生み出す要因を断ち切ることです。
暴力は許容されるもの、あるいはいつか無くなるものという思い込みには、もうたくさんです。暴力を、私たちが止めるために全力を尽くさなければならない大規模な課題よりも取るに足らないものとして扱うことにも、もうたくさんです。
「もう、たくさん」
これが、私たちの世界を変える言葉なのです。
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『世界人口白書2020』日本語抜粋版発表はこちら