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国連人口基金(UNFPA)事務局長のトラヤ・オベイド(Thoraya Obaid)は1月19日(月)、貧しい国の方が裕福な国よりも国連人口基金へ拠出している、と述べた。

途上国は1994年の国際人口・開発会議(ICPD)にて約束した金額の8割を既に拠出しているのに対し、先進国はいまだに4割しか支払っていない。しかし、そもそもICPDで合意された教育へのアクセス、避妊、平等の権利を含む20年に渡る行動計画を実現させるためにはまず財源確保が前提なのだ、とオベイドは記者会見で指摘した。この目標額は2015年までに80億人に達すると推測されている世界人口へ対応するために設定されたものだ。

強制妊娠中絶を含んでいるかもしれない中国の一人っ子政策を間接的に支援しているという国連人口基金への誤った批判を根拠に、ブッシュ大統領はアメリカ議会で既に合意されていた2002年および2003年分の拠出金の支払いを取り止めた。オベイドはこれを否定し、国連人口基金は中国の政策に変革を起こすよう働きかけているのであり、避妊プロジェクトを展開しているのは、もはや一人っ子政策を強制していない32地域のみである、と主張した。

2002年にブッシュ大統領は、自ら派遣した中国への調査団が米国は国連人口基金に拠出金を支払うべきという指摘を無視したのである、とオベイドは述べて、その一方でアメリカが支払いを見合わせた金額相当分を補ってくれた欧州連合やカナダを高く評価した。国連人口基金は2003年に2億9100万ドルの利用可能な資金があり、この4分の3は途上国のリプロダクティブ・ヘルスの改善に割り当てられた。出産における妊産婦の死亡率を引き下げ、 HIV/エイズ感染に歯止めをかけ、女性に対する暴力を減らすことにも努めているのである。

バグダッド生まれのサウジアラビア人であるオベイドは、AIDS感染の警告を発するとともに、人々の性行動を変容させるのは政府の役割であると述べ、ウガンダ、タイやセネガル政府の成果を「模範」として紹介した。その一方で、エイズはボツワナをはじめとするアフリカ諸国、ロシアなどの東欧、そしてハイチなどのカリブ海諸国で蔓延しており、ドラッグの使用、人身売買、そして避妊薬(具)の不足といった様々な状況が組み合わさるとその影響は「特に爆発的」に拡大する、とオベイドは述べた。また、2050年の世界人口は多くて120億、少なくて80億と予測されており、現在では出生率の最も高い国はアフリカの最貧国、そしてパキスタン、インド、中国である、と人口の増加傾向についても紹介した。

バングラデシュやイランなどのイスラム諸国でも大きな成果がみられた。テヘランでは、イラン革命指揮者の故アヤトラ・ホメイニ(Ayatollah Khomeini)により推奨されてきた人口増加は社会基盤を圧迫するということに気づき始めている。その結果、避妊を許可する布告が出された。しかしその一方で、ローマ法王は避妊を否定し続けている、とオベイドは話した。