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東ティモールの首都ディリの暴動により住む場所を失った避難民のうち3,000人と推定される妊産婦への保健医療サービスが国連人口基金(UNFPA)の急務である。

労働・コミュニティ復帰省が指揮をとる機関合同人道調整グループは、主に宗教施設へと難を逃れた約70,000人の避難民に対する緊急支援を行っている。この支援活動の一端として、国連人口基金、国際保健連合及び東ティモール医療協会は、避難所の妊産婦への保健サービスを提供するために、保健省や地方自治体を支援している。

一日最大5件の出産がある中で、出産の迫った妊産婦を国立病院の産婦人科まで適宜搬送することが緊急の課題である。国連人口基金は保健省を支援し、出産2週間前から産後1週間、妊産婦とその家族が病院内で生活できるような施設を建てる。また、国連難民高等弁務官事務所と国連世界食糧計画は、物資運搬と栄養面の支援を行う。

産科医、一般開業医、助産師から成るチームが毎日避難所を巡回し、国連世界食糧計画が支給する破傷風予防接種や補助食品配布を含む妊産婦ケアを行い、出産間近の妊産婦の健康状態を管理する。国連人口基金は救急車へのガソリンを供給し、ヘルス・サービスを24時間体制で提供できるよう努める。

「東ティモールの出産率は世界でも最高水準にあり、平常時でさえ母子保健サービスの提供に多くの課題を抱えている。緊急時においては妊産婦が必要とする産科医療サービスの提供に向けて、より一層の尽力が求められる」と国連人口基金東ティモール事務所代表のエルナンド・アグデロ(Dr. Hernando Agudelo)は語る。

さらに、緊急時においては平常時よりも性的暴力の問題が深刻となるため、国連人口基金では東ティモール女性NGOネットワークと協力し、避難所で生活する女性や少女に対する性的暴力の予防活動を行う。このNGOネットワークの加盟団体や、政府のジェンダー平等推進局などの性的暴力反対組織は、女性や少女への啓発活動や擁護策についての行動計画を立案中である。