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「ディリ周辺の避難キャンプで生活する妊産婦は、妊産婦ケアサービスを受けられ、出産前には国立病院に入院するという選択もできるようになりました」と国連人口基金東ティモール事務所代表エルナンド・アグデロ(Hernando Agudelo)は語る。

「出産間近の女性が安静にしていられる場所としてディリ国立病院に20個のテントを設置しました。保健サービス機関、国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR)、東ティモール女性ネットワーク(REDE Feto)の効果的な連携によって実現しました」と東ティモール事務所代表は述べた。

国連難民高等弁務官事務所は、110個のテントを病院に提供した。各テントは仕切られていて、10人まで収容することができる。

国連人口基金と東ティモール女性ネットワークは、すでに10人の妊産婦とその家族を避難所から病院の新しい「安静所」に移送した。さらに8家族が出産間近に移送されることが巡回医療チームによって確認されている。

「避難所の状況は、特に妊産婦にとって困難な状態です。専門医療サービスへの移送手段が十分でないことで、日常よく見られる健康問題でも妊産婦は命の危険にさらされることもあり得ます」と国連人口基金技術顧問のセビンジ・フセインシャーデ(Sevinj Huseyn-Sade)医師は語る。

巡回医療チームの働きにより、妊産婦は産前・産後のケアを受けることができ、特に妊娠の最後の周期にはより綿密なケアを受けられる。「この新しい『安静所』を病院に設けることで、妊産婦はより安全な場所で総合的医療を受けることを選択できるようになりました」とフセインシャーデ医師は説明する。

巡回医療チームは鉄剤と葉酸を妊産婦に配布し、国連世界食糧計画(WFP)は栄養価の高いBP5ビスケットを提供する。また、カトリック救済サービス(Catholic Relief Services)とヘルスネット・インターナショナル(HNI)は、妊産婦ケアの提供者がマラリアやデング熱にかかりやすい妊産婦に蚊帳を提供できるような支援を行なっている。

この取り組みは、機関合同人道調整グループが実施するより広範な妊産婦のための保護イニシアティブの一部である。首相直轄のジェンダー平等推進局を含め国内外の協力団体と連携し、性やジェンダーに基づく暴力を調査する下部組織も創設した。

機関合同人道調整グループは週3回のミーティングの中で、ニーズの変化を評価しその対応の調整を行う。東ティモール政府主導のこのグループは、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、国際移住機関(IOM)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)、国連世界食糧計画(WFP)、カトリック救済サービス、ケア・インターナショナル(CARE International)、オーストケア(AUSTCARE)、赤十字社(the Red Cross)、オックスファム・オーストラリア(Oxfam Australia)、プラン・インターナショナル(Plan International)、国境なき医師団(Medicins Sans Frontieres)、ワールド・ビジョン(World Vision)、NGO団体CONCERNからの代表者で構成されている。オーストラリア国際開発庁や米国国際開発庁(USAID)のようなドナー団体や現地組織も多数参加している。

6月12日付で国連は東ティモールのための共同緊急アピールを発表し、国連人口基金は国内避難民のジェンダーに基づく暴力の予防と妊産婦健康ケアのため、3カ月の予定で約60万米ドルを要請した。