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既婚の若者が世界的課題から外されている、と国連人口基金

既婚の若者が世界的課題から外されている、と国連人口基金

プレスリリース

既婚の若者が世界的課題から外されている、と国連人口基金

calendar_today 04 6月 2004

国連人口基金、ポピュレーション・カウンシル、セネガル共和国政府、女性研究国際センター(International Center for Research on Women)の各代表は、今日、童婚というなおざりにされている問題を取り上げるために会合をもった。童婚は、何百万もの少女の健康を脅かし、教育の機会を制限し、社会・経済・政治的発展を妨げることにより彼女たちの人権を侵害している。

法的に結婚できる最低年齢はほとんどの国で18歳と定められているが、今後10年間に、世界中で1億人以上の少女が18歳の誕生日を迎える前に結婚すると推測されている。中には8、9歳という若さで強制的に結婚させられる例も少なくない。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「既婚の若者が開発や保健の課題の対象外なってしまっているのは、結婚さえすれば問題なく大人へと成熟してゆくという認識による」と述べ、「これは全く誤った認識である」と強調した。

ワシントンD.C.で開かれた世界保健協議会(Global Health Council)年次総会の特別セッションで、オベイド事務局長は「若者と健康:崖っぷちに立たされている年代」と題し講演をおこなった。その他のパネリストには、セネガル共和国厚生大臣アミナタ・ディアロ(Aminata Diallo)氏、女性研究国際センター所長ギータ・ラオ・グプタ(Geeta Rao Gupta)氏、ポピュレーション・カウンシルのジェンダー・家族・開発部部長ジュディス・ブルース(Judith Bruce)氏、そして結婚を遅らせ教育を受け続けるために活動したケニア人女性、カケンヤ・ンタイヤ(Kakenya Ntaiya)氏が含まれている。

オベイド事務局長は、講演の中で、「国連人口基金では、こうした少女に関する問題に対し、出産と保健に焦点をおいた従来の比較的狭いものから、人生を切り開いてゆく能力やライフスキルを強調したより広いものにするよう方針の転換を視野に入れています」と述べ、「収入創出活動によって彼女たちに一定の自立性、可動性をあたえ、性差に基づく伝統的な役割分担から解き放つことになれば、既婚の若者の生活は変わっていくのです」とつけくわえた。

オベイド事務局長は、童婚をなくすため以下のように活動を強化するよう呼びかけている。

HIV/エイズ感染率の高い地域では、年上の男性と結婚する少女の感染リスクが特に高くなることを強調する。
•全ての人々の尊厳と人権、そして少女の強制的な結婚や早婚による安全と健康への脅威に関して、国および地域レベルの対話を促進する。
•少女が中等教育を終了することを支援し、貧困や少女に対する差別のような、早婚を引きおこす根本的な原因と向き合う。
•未婚の少女が結婚を先延ばしできるよう、識字率向上、収入増加および経済的・社会的福利の向上をめざし、安全、適切、かつ効果的な教育による技術向上や未婚の少女が生計を立ててゆける方法を計画する。
多くの国で、童婚は慣習として深く根づいている。娘の将来を社会的にも経済的にも保障したいという両親の願いや見合い婚による家族と村の結びつきの強化という役割があるためである。

この総会では、既婚の少女の証言を集めた「短すぎる子供としての時期:既婚の若者の声」"Too Brief a Child: Voices of Married Adolescents"(ビデオコピー入手可)という新しいビデオを国連人口基金が初公開した。ブルキナファソの少女は、証言の中で、「わたしは10歳になる前にある男性と婚約させられました。伝統的な結婚式でした。ある日、わたしは夫の家族に引き渡されたのですが、そのときはじめて夫を見て、彼が自分の父親よりも年を取っていることを知りました」と状況を説明した。

オベイド事務局長は、既婚の少女の権利を守るため活動の強化をうったえるとともに、早婚は少女に多大なる健康上のリスクをもたらすと強調した。15歳から 19歳の女性の死亡と障害の主な原因は妊娠である。既婚の少女は、たいていより豊富な性体験を有するずっと年上の男性と結婚しており、一般的にコンドームの使用を交渉することができないため、特にHIV/エイズ感染のリスクにさらされている。ケニアとザンビアの調査によると、10代の花嫁は、性的に活発な未婚の少女よりも早い速度でHIV/エイズに感染している。若い男性のHIV/エイズ感染者数は450万人であるのに対し、およそ730万人の少女が HIV/エイズに感染しており、サハラ以南のアフリカでは、15歳から19歳の新しくHIVに感染した若者の3分の2近くが女性である。

人類史上で最大の世代を形成した思春期世代(12億人が10歳から19歳である)が子供から大人へと移り変わっている今、これはまさに重要な問題である。今日の少女の健康と幸せは、明日の世界の健全なる社会・経済の形成に多大な影響を与えるであろう。