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国連人口基金は出生率減少による地球規模の人口増加の抑制を歓迎する。この人口増加の抑制は、国連人口部が昨日報告したものである。

『世界人口推計-2002年改訂版-』によると、現在の63億人の世界人口が2050年までに89億人に増加する。これは2年前に予想した30億人の人口増加に対し、26億人に収まったことになる。人口増加は主に発展途上国において起こると考えられている。

増加の抑制の原因として、将来の出生率の減少が挙げられる。

しかし、『世界人口推計-2002年改訂版-』は、「この人口増加の抑制の達成というのは、カップルの家族計画へのアクセスの確保や、現在のHIV/AIDSの蔓延防止対策が成功することなどを条件とする」と、警告している。

改訂された人口増加予測は、より厳しくHIV/AIDS蔓延の影響を見直し、そして緊急HIV/AIDS蔓延普及予防対策や、世界的な(特に発展途上国においての)HIV/AIDS患者へのケアの必要を示している。

予測された人口増加抑制が半分の場合の原因は、「予想の死亡数が増え、その大部分はエイズの感染率(罹患率)に原因がある」という。報告書の予想では、2050年までに2億7,800万件はエイズに関連した死亡とされている。

報告書では各国の国民のリプロダクティブ・ヘルス・ニーズと家族計画への投資は発展途上国の低出生率に役に立っているという。(1960年に女性1人が6人を出産したことに対し、現在の女性1人の出産数は3人になった。)

継続的なリプロダクティブ・ヘルスや家族計画プログラムへの投資は非常に重要である。報告書は、国連人口部の「最も適当な」予測シナリオ以上に、女性一人当たり平均0.5人以上の子どもを出産すれば、2050年までに世界人口は106億人にまで増加するとしている。

また、新しい予測は人口増加率の抑制のスピードにおいて、国家間の大きな多様性を示しており、抑制のスピードが他国に比べて遅れる国ほど貧困の割合が高い。さらに、49ヵ国の後発発展途上国(LDCs)は現在の6億6,800万人より2050年までに17億人の増加が予測される。

「改訂された予測は、人口分野での国際的な努力が成功していることが確認できる」と国連人口基金事務局長のトラヤ・オベイド氏は述べている。「現在、大多数の女性と男性は自分たちで出産間隔と子どもの人数を決めることができ、人口増加の抑制に寄与している。この選択、特に女性の選択は自分自身だけではなく、家族、地域社会(コミュニティー)、そして国家によい影響を与えるものである。」

しかし、ヘルス・ケアの必要性はまだ高く、やらなければならないことは依然残っている。予測では3.5億組のカップルには現代的な家族計画サービスを受けることができない。世界人口推計の予測によれば、今後50年間、1分間に10人もの人々がAIDSにより死亡する。さらに、年間51万5千人の女性が予防可能な出産関連の原因で死亡し、発展途上国では47%の出産には技術のある人(医師や助産師)が立会っていない。これらの問題対策のために投資をしている国々はあるものの、最貧国には資金財源がないのが現状である。

HIV/AIDSの脅威と戦うため、妊産婦死亡や傷害、貧困の減少、そして他のミレニアム開発目標(MDGs)に応じるため、拠出国(ドナー)に公約を遵守するよう求める。また、女性の命を助け、母子保健の拡充、家族計画へのアクセスの増やし、人口の増加に合わせた社会経済開発を容易にするため、発展途上国にはさらなる資源が必要である」とオベイド氏は述べている。