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世界メンタルヘルス・デーを迎える本日、国連人口基金(UNFPA)は他の関係機関とともに、「メンタルヘルスを世界の優先課題に(“Making Mental Health a Global Priority”)」するよう求めます。メンタルヘルスや心理社会的サポートを人道支援に組み込み、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成のために、さらなる努力が必要とされています。

リプロダクティブ・ヘルスとは、身体的・精神的・社会的ウェル・ビーイング (良好な状態)を意味します。つまり、ミレニアム開発目標4「乳幼児死亡率の削減」と、目標5「妊産婦の健康の改善」を達成するためには、メンタルヘルスが重要な要素だと言えます。

多くの女性が産前産後の周産期にはうつ状態に陥るにもかかわらず、妊産婦や子どもたちの世話や介護をするために必要なサービスが十分に提供されていません。周産期のうつ病は、産科合併症や早産の発生率を高めます。また、うつ状態の女性は産前産後のケアを受けない傾向にあります。

母親のメンタルヘルスは、子どもの健康と生存にも影響を与えます。母親が心理的に不安定な場合、低体重児出産の確率が高くなります。また、子どもの栄養失調および、感染症や病気にかかる原因となります。

メンタルヘルスや心理社会的支援サービスは、性的暴力などの暴力を受けた人々にとっても必要不可欠です。特に、性的暴力の被害者の3人に1人は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥ることが、研究により明らかにされています。

これらの問題に取り組むべく、国連人口基金は世界保健機関(WHO)と協力し、従来の母子保健政策や事業に、メンタルヘルスに関する対応を組み込むよう働きかけています。また、緊急時のメンタルヘルスおよび心理社会的支援の規模拡大のために、人道支援団体とともに取り組んでいます。

本日、国連人口基金は、人間開発[1]を推進し、人道的危機に対応する政策の中に、メンタルヘルスへの対応も組み込むよう、各国政府とパートナーのみなさんに要請します。メンタルヘルスは、基本的な人間の尊厳の中核に位置するものなのです。

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[1] 人間開発:人々が各自の可能性を十全に開花させ、それぞれの必要と関心に応じて生産的かつ創造的な人生を開拓できるような環境を創出すること。
(出典:国連開発計画東京事務所ウェブサイト)