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昨年起こったパキスタン地震の被災地において、共同支援の成果により、災害前よりもヘルス・ケアを享受することができるようになった母子が増えている。

2005年10月8日に起こった災害の生存者のうち、毎月約5,000人の女性が出産を迎えているが、その大部分が未だに保健医療面の不安に脅かされている。汚染や人口過密、低い栄養状態や劣悪な衛生状態が、貧しい地域において以前から存在していた問題をさらに悪化させている。これらの地域では出生率が高く、在宅出産が典型的で妊産婦死亡が深刻である。

しかし1年が経過し、震災前には保健医療サービスが行き届いていなかった被災地にも、パキスタン政府との協力により多くの援助機関によって移動式サービスや仮設の保健施設が設置された。

5000人以上の女性が、国連人口基金(UNFPA)により建設されたプレハブ式母子保健施設で出産した。当基金はムザファラバードとマンセラ地域に同様の施設を、設備の整った助産院から一次診療所まで34施設建設した。

全く保健サービスが行き届いていない離村の女性や子供のために、国連人口基金は10カ所の移動式診療所を支援している。

国連人口基金の施設で住み込み勤務をする女性スタッフらは、24時間体制で初期ケアや産前検診、高度な分娩サービスを提供し、何百万人もの女性が人命救助の処置を受けている。

複雑な事態の時は、マンセラにある地域病院の出産施設やムザファラバードのアバシ医療科学研究所(AIMS)付属病院に照会される。それらの病院では、国連人口基金が医療器具や医療スタッフの提供を行い、AIMS病院の医師らは先月、72件の帝王切開を含む406件の出産を処置した。

「辺境地では、妊娠や出産はいつも危険にさらされています」と国連人口基金パキスタン事務所代表フランス・ドネイは指摘する。「被災により、女性が既に直面しているリスクはさらに増加することになります。しかしながら、現在人命救助サービスは被災地において広く普及し、喜ばしいことに女性は今まで以上にそのサービスを利用できるようになっています」