UNFPA事務局長ナタリア・カネムは、3月8日「国際女性デー」に際し、以下の声明文を発表しました。
紛争や緊急時に重い負担を強いられる女性と少女
現在、女性や子どもを中心とする170万人以上が、ウクライナの自宅から近隣諸国に避難しています。彼らは避難生活の中で、暴力、性的虐待、搾取に対してより脆弱な立場に置かれることになります。さらに、避難民の中には妊娠している女性も多く、妊娠合併症に対する医療的ケアや支援が必要な可能性があります。このような状況でヘルスケアへのアクセスが十分ではないと、女性たちの命を危険にさらすことになります。
紛争、気候ショック、長引く新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、ジェンダー不平等をより深刻にしてきました。記録的な数の人々が避難し、人道支援と必要不可欠なサービスへのアクセスを求めている今、最も重い犠牲を強いられているのは女性と少女です。
イエメンでの紛争は国際的な関心を集めなくなりましたが、7年間続く戦闘状態により同国の保健システムを崩壊したため、推定500万人の女性と少女たちは命を守るセクシュアル・リプロダクティブヘルス・サービスにアクセスすることができない状況に置かれています。イエメンでは現在、ほぼ確実に予防可能な原因にも関わらず、2時間に1人の割合で女性が出産中に死亡しています。
過去8年間、ウクライナ東部の紛争に脅かされながら生きてきた何百万人もの女性と少女は、すでに日常的にジェンダーに基づく暴力にさらされていますが、今後さらに悪化する可能性があります。シリアには、暴力と虐待にさらされる日々が当然になっている女性や少女たちもいます。
端的に言うと、世界中で緊急事態下に生きる女性と少女は、自分のからだ、命、未来をコントロールする能力を奪われているのです。彼女たちの苦しみは計り知れません - それは不当で不必要なものです。
セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ推進における過去20年間の著しい成果は、世界中の紛争や脆弱な環境下で危機にさらされています。私たちは、女性と少女のために苦労して積み上げたものが、アフガニスタンの危機に直面し、急速に崩壊する様子を目の当たりにしたばかりです。エチオピア北部のティグライとバングラデシュのコックスバザールでは、女性と少女たちが紛争とその余波による重いコストを負担し続けています。
フィリピンやハイチ、トンガ、その他の小島嶼開発途上国では、気候危機や自然災害の激化の影響により、女性たちの生活や食料、水、その他の基本的な必需品にアクセスする能力が圧迫され、彼女たちを差別、搾取、虐待に対してより脆弱な立場に追いやっています。
今年の国際女性デーに、私は、紛争や危機による影響を受けている全ての国々で、確実に女性と少女の健康、権利、尊厳が保障され、重要なインフラが保護されるよう、国際社会に求めます。セクシュアル・リプロダクティブヘルス・サービスは、緊急時に後回しにしてよいものではありません。出産間近の女性や性的虐待を受けた思春期の少女にとって、これらのサービスは食料、水、避難所と同様に不可欠であり、生死に関わるものでもあるのです。
女性の声に耳を傾け、女性のリーダーシップとレジリエンスに投資しなければなりません。女性はコミュニティを連携させ、気候変動を緩和し、適応するための取り組みをリードします。そして女性は和解を推進し、長期的な平和を確保することができます。
紛争や危機下の1日は、私たちが望むより良い、より持続可能な、より平等な未来の創出からさらに遠ざかる1日となります。世界中の女性と少女は平和を必要とし、それに値します。
本文は当該記事を、駐日事務所にて翻訳・編集したものです。