中東の国、レバノン南部に住むウィサムくん(21歳)は、2006年のレバノン侵攻(イスラエル軍がレバノンに攻めこんで始まった戦争)の際、空爆で死んでいく少女を目の当たりにしたり、避難してきた人たちを家に迎え入れたりした経験から、人を助けるために何かしたいと考えるようになりました。 戦争後、エイズ対策のために、学業のかたわら国連人口基金が支援している若者たちのネットワークで、ピア・エデュケーション(仲間教育)に取り組んでいます。 これは、訓練を受けた意欲的な若者たちが、自分と同じような年齢や経歴、興味を持つ若者に対して、性のことや、エイズやその他の性感染症(性行為により感染する病気)について教える方法のことです。 レバノンの文化では、公共の場で体や性について話すことは、忌み嫌われ、避けるべき事柄(タブー)とされています。そのため、性についての情報を得ることが難しい若者に対して、ピア・エデュケーター(仲間に教える人)が正しい情報を伝え、エイズの原因となるHIVの感染予防に貢献しているのです。 ウィサムくんも訓練を受けた後、学校や地区センターで若者たちを集めて集会を開いています=写真。そこでは、映像や劇やゲームを通じて、ウイルスの感染経路を教え、その予防方法などを伝えています。大人が話すよりも、同年代の仲間同士の方が情報が伝わりやすいのです。 ウィサムくんは言います。「自分の国を、世界を変えたい、変えられる、と本気で思っているんだ」 |
©Carla Daher/UNFPA Lebanon |
◆親子で考えよう◆
性のことや体のことを、お友だちやお父さんお母さんと話したことがありますか??
掲載:朝日小学生新聞(2009年3月21日号)