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アフリカ中央部の内陸国チャドのマヨ・ケビ州に住むアナトウさんは、貧しい生活に苦しんでいました。そこで、周りの女性たちとグループをつくり、国連人口基金が支援しているチャド政府の「女性省」からお金を借りて、井戸を掘ったり、手作りの工芸品を売る市場を開いたりしました。

「村に井戸をつくったおかげで、子どもたちに安全な水を飲ませることができるし、わざわざ遠くまで水をくみにいかなくてもよくなったわ」と言います。

このように、担保(借金が返せなくなったとき、代わりに差し出す財産)がないためにお金を借りられなかった人たちに、少額のお金を貸す仕組みを「マイクロ・クレジット」といいます。そのお金でビジネスを始めたり、生活を改善したりして、少しずつお金を返します。

2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスさん(バングラデシュ)は、この仕組みを使ってたくさんの貧しい人の自立を支援しています。

国連人口基金は、このマイクロ・クレジットでチャドの女性を支援しています。女性が自らお金を稼ぎ、それを生活に使うことで、家族や社会の中での地位も向上するからです。

お金を借りるためにつくった女性グループは、読み書きを勉強したり、エイズなどの性感染症や女性の権利について学んだり、村の環境を整備するための会合を開いたりしています。

「わたしたちは読み書きができないことで、とても不便な思いをしたの。だから自分たちの娘のために学校を建てたいと話し合っているの」とアナトウさんは言います。

UNFPA発 世界の声が聞こえますか?第5回 『マイクロ・クレジット 少額融資で女性の自立を助ける』(チャド)(1)

会議に参加する女性グループ。
手をあげて決を採ります=マヨ・ケビ州の町パラで。
©UNFPA

◆親子で考えよう◆
アナトウさんのグループの一員だったら、どんな仕事を提案しますか。

掲載:朝日小学生新聞(2009年3月7日号)