タイの首都、バンコクにあるバーンケーン病院の一室で、一週間前に出産を終えたジェンジラさんが言いました。「妊娠してから夫のウォラユットは、家事の手伝いをしたり、健診について来てくれたりしたわ。赤ちゃんの世話も良くしてくれるのよ」 別の部屋ではウォラユットさんが、赤ちゃんをお風呂に入れる練習をしていました=写真。「最初はすごく大変だったよ。出産の前からたくさんの講義を受けなければいけなかったからね。けれど今は、ほかのお父さんにも勧めたいと思っているよ」と言います。 病院のスタッフは、「出産前から、両親が子育てや家事を助け合ってする習慣をつけておくと、子どもの健康状態が改善された、出産や育児の悩みが減ったという報告もあるんですよ」と言います。 国連人口基金が支援しているこの病院では、出産や育児に父親の参加を促すために特別なプログラムを実施しています。妊娠したお母さんとお父さんは、カウンセリングに参加したり、子どもを健康に産むための知識や、父親・母親になるための心構え、子どもの世話の仕方、お母さんの体のために出産の間隔をあけることなどを習ったりします。5年前から始まったこのプロジェクトで、6000組の夫婦が元気な赤ちゃんを産み、育てています。 タイでは昔から男性が働き、女性が育児や家事をする、といった役割分担がありましたが、ここ10年で少しずつ外で働く女性も増えました。一緒に育児や家事をする男性も増えてきたといいます。夫婦が家庭内でお互いに支えあい、それが家族の健康につながる――そんな新しい家族のかたちが広がりつつあります。 サイクロンの直後、妊娠中のお母さんは病院で検査が受けられなかったり、栄養のある食べ物が手に入らなかったり、衛生的な環境でお産ができなかったりと、とても危険な状態におかれました。しかし、9月までの4か月間に1092人のお母さんが移動式クリニックを利用し、安全に出産できました。 |
©Thitiporn Winijmongkolsin/ UNFPA |
◆親子で考えよう◆
みんなのお父さんとお母さんは、家の中の仕事を助け合っているかな?
掲載:朝日小学生新聞(2009年2月21日号)