「子宮頸がん撲滅のための国家政策と行動計画について議論するにあたり、私はとても誇らしく感じています。この取り組みは私にとっても非常に個人的なものでもあります。母が12年以上がんと闘ってきたことで、私の決意はますます強くなりました。私の娘や私たちの国の若い娘たちは皆、子宮頸がんの脅威から解放された未来を歩むに値します」と、マーシャルのフランシーヌ・ワセ・ジャックリック保健・福祉省長官は述べました。

子宮頸がんは、ワクチン接種、検査、治療を効果的に組み合わせることで発症率を大幅に減らすことができるにもかかわらず、マーシャルの女性にとって重大な脅威となっています。ミクロネシアのこの小さな島国の子宮頸がん発症率は女性10万人あたり70件（2020年）です。これは世界平均の5倍にあたり、同国は世界でも最も高い発症率の国の一つです

この差し迫った健康問題に対処するため、マーシャル政府は、国連人口基金（UNFPA）太平洋州サブ地域事務所と共同で、「子宮頸がん撲滅のための国家政策および行動計画（2024～2030年）」を策定し、発表しました。この政策および行動計画では、子宮頸がんと闘うための包括的なアプローチが示されており、その中には「標準的な基準」のスクリーニング方法として「ヒトパピローマウイルス（HPV）DNA検査」の導入も含まれています。

子宮頚部細胞診や酢酸を用いた視覚検査（VIA）などの従来のスクリーニング方法は、制約のある資源と限りある医療インフラにより、マーシャルでは課題に直面しており、より効果的で利用しやすい代替手段の必要性が高まっています。HPV DNA検査を導入することで、同国はスクリーニング対象である25～60歳の女性の受検率を現在の37%から2倍の70%に増やし、がんになる手前の状態の早期発見と治療を促進することを目指しています。

「子宮頸がんは我が国の女性に最も多く見られるがんの一つであり、検査と早期発見は政府にとって大きな優先事項です。UNFPAからの支援は、この重要な闘いにおける我々の団結した努力を強調するものです。我々は共に希望と決意を持って前進し、我が国のすべての子どもたちのより明るく健康な未来に向けて取り組んでいきます」とジャックリック長官は繰り返し述べました。

この政策および行動計画の発表会に参加した、UNFPA太平洋州サブ地域事務所の副所長マティーン・シャヒーンは、「マーシャルの国家政策が導入しているHPV DNA検査は、子宮頸がん症例の95％以上を占める高リスクHPV株を検出するための高精度で正確かつ信頼性の高い方法を提供する高感度検査であり、評価に値します」と、新しい方法の大きな利点について説明しました。 

なお、マーシャルにおける子宮頸がん撲滅に対するUNFPAの支援は、中外製薬株式会社の多大な資金援助を受けています。2024年10月にマーシャルで開始される「HPV DNA検査・治療プロジェクトの導入」と題する新プロジェクトは、約8,000人の女性と少女を対象にHPV検査を行うことを目標としており、同国の検査対象女性の大半を網羅します。また、現地のパートナーと連携し、子宮頸がん予防と早期発見の重要性についてコミュニティへの大規模な啓発キャンペーンも実施予定です。

UNFPA大洋州サブ地域事務所の副所長シャヒーンは、「この取り組みは、HPV検査用のGeneXpert（自動遺伝子解析装置）、Point of Care (被験者の傍らで医療従事者が行う簡易検査)、 PCR（ポリメラーゼ連鎖反応）機器を提供します。また、プライマリーヘルスケアクリニックを含む全国の医療提供者に、質の高い子宮頸がん検査と治療サービスを提供するための知識とツールを提供し、さらに医療機関間の連携を改善し、特に検査の普及率が低い地域で移動検査を実施することで、マーシャルを支援します」と述べました。

（2024年8月9日マーシャル諸島共和国、マジュロ）

Game-changer against cervical cancer: Marshall Islands introduces HPV DNA testing