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20211215日ハノイ: 家庭内暴力(DV)の被害者の権利と安全を保障することを目的に、国際基準に照らし合わせた無料オンライン相談窓口が1215日、ベトナムに新設されました。この相談窓口を通じて、必要とされるケアやサポート、患者照会(リファラル)サービスを24時間体制で提供します。窓口への相談を加害者に気づかれたり、妨害されたりすることなく、女性や少女がいつでも秘密厳守で助けを求められるよう、電話とテキストメッセージで相談に応じます。

 

相談窓口の電話(番号1800 1768)は、ベトナム農業組合がUNFPAより技術面・資金面の支援を受けて立ち上げました。このUNFPAの支援は、日本政府が拠出するプロジェクト「社会的に脆弱な人々に対する新型コロナの負の影響の軽減―ベトナムのSDGs達成に向けた国家発展のために」の一環です。

 

関係者会合の冒頭挨拶で、ベトナム共産党中央委員会の委員であり、ベトナム農業組合の会長を務めるルオン・コック・ドアン氏は、過去数年間にわたるUNFPAの支援に対して謝意を表し、「私たちはDV相談窓口(1800 1768)を最も効果的な形で運用し、農村地域のDV削減に貢献して参ります。これは、ベトナム農業組合の人々、特に女性の農業従事者の権利を守り、家庭内暴力に対する男性の行動変容に携わる上で、組合の具体的な行動を示しています。UNFPAと日本政府の支援に心から感謝いたします」と述べました。

 

ベトナム農業組合による新規無料相談窓口の開設は、都市から離れた農村地域の被害者も利用できることから、非常に利便性が高く重要です。2019年にUNFPA支援のもと実施された国勢調査により、女性に対する暴力の割合が都市部の22%よりも、農村部では28%と高いことが分かっています。

 

本調査では、女性のおよそ3人に2人(62.9%)が、生涯で身体的、性的、精神的、経済的暴力、夫による抑圧的な態度のうち少なくとも一つを経験していたことが明らかになりました。さらに、夫からの身体的、性的暴力を経験した女性の半数が、誰にも相談せず、また暴力を受けた女性の9割は支援を受けようともしなかったと報告され、ベトナムでのDVは表に出てこない隠れた問題となっています。またコロナ禍で、DV件数が増加傾向にあり、UNFPAが支援している他のDVホットラインへの相談件数は2倍、3倍にも膨れ上がっています。UNFPAは事態の深刻さを受け、既存の電話サービスは本来のキャパシティを超えて稼働しているため、追加の相談窓口開設へと至りました。

 

新規相談窓口開設イベントで、UNFPAベトナム事務所所長の北原直美は、農村部の人々を含む女性や女児に対する暴力を撲滅させるというベトナム農業組合の強いコミットメントを称えました。

 

北原は「ベトナム政府を支援するため、すべての関係者間のより多くの努力と協力体制が必要です。ベトナムの最も弱い立場に置かれている人々を含め、すべての女性と女児は暴力の無い人生を送る権利を持っており、新型コロナ対策の一つとして優先されなければならない人々です。それは、すべての人がベトナムの持続可能な開発過程の一部を担っていること、そして誰ひとり取り残さないことを確証することです。私たちは、女性や女児を取り残さないと宣言します」と強調しました。

 

UNFPAはイベント同日、新型コロナ第4波において深刻な影響を受けたホーチミン市、ビンズオン省、ドンナイ省、ロンアン省およびティエンザン省でDVにさらされている女性、またそのリスクが高い女性を対象に「尊厳キット」約8,400個をベトナム農業組合に供与し、同組合のネットワークを通じて配布します。

 

「尊厳キット」には、緊急時に女性や女児が自らを守り衛生状態や尊厳を保つために必要とされる基本的な用品が含まれています。本キットは、女性および女児のセクシャル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)と権利を保障し、DVの防止や対策に寄与するUNFPAの包括的な人道支援のパッケージに含まれる特徴的な支援物資です。その中には、緊急時に女性や女児が自らを守り衛生状態や尊厳を保つために必要とされる基本的な用品が含まれています。

 

問い合わせ先:

ベトナム農業協同組合 社会・人口・家族部門 副部長

ファム・トゥ・フォン

メール:pthp12nd@yahoo.com 

 

UNFPAベトナム事務所 コミュニケーション部門

ディン・トゥ・フォン

メールdhuong@unfpa.org