現在地

5月24日、25日
イスタンブール 

5月24日、世界110カ国以上から200人の国会議員を含む400人以上の代表団がイスタンブールに集結し、1994年にカイロで開催された国際人口開発会議(ICPD)での公約を見直すための会議が開かれました。2012年度のICPDの「行動計画」実施のための国際国会議員会議は、トルコ大国民議会の後援と日本をはじめとする数ヵ国からの支援を受け、国連人口基金及びヨーロッパ人口・開発議員フォーラムによって実施されました。

5月24日の開会式では、トルコ大国民議会会員でありトルコ人口・開発議員グループの会長でもあるオズヌール・チャルク氏が開会挨拶を行い、「国会議員は、それぞれの国家が1994年のカイロの公約を実現する大きな責任を共有している」と述べ、参加者に向けてこの目標を達成するための自らの政府公約を明言しました。最初の副議長を務めたグルジア議会及びヨーロッパ人口・開発議員フォーラムのプレジデントであるジョルジュ・ツェレテリ氏は、若者への教育や、リプロダクティブ・ヘルス及び家族計画の普遍的アクセスを保障することの必要性を強調しました。

トルコ大国民議会のジェミル・チチェッキ氏はその日の基調講演で、国際的・地域的な連携促進を基盤とする自国の開発への協調的な展望を主張し、会議に参加していた国会議員に対し、21世紀における公正で包括的な成長モデルの開発を呼びかけました。

次に、国連人口基金事務局長のババトゥンデ・オショティメインが、女性の命を救い各国の若者の生活を改善するという国会議員の役割を強調し、「一般の人々に到達したければ、国会議員との対話が不可欠です。なぜなら彼らが人々の代表だからです」と述べました。

この開会式には、ICPDは国際的な総意であると述べた米国の女性下院議員キャロリン・マロニー氏のほか、デンマークの開発協力相クレスチャン・フリース・バク氏、トルコの開発相ジェヴデト・ユルマズ氏なども参加し、各国の観点からリプロダクティブ・ヘルス/ライツの重要性を議論しました。

日本からは、増子輝彦参議院議員及び阿部俊子衆議院議員が本会議に参加し、増子議員は全体会議でのスピーチで開発におけるICPDの重要性を述べられ、福島県出身の国会議員として、各国からの東北の支援に対する感謝の意を述べ、そのお返しとしてこれからも日本から支援を続けていきたいと述べられました。阿部議員はグループ・セッションの議長を務められ、全体会合では高齢化と少子化についての発表を行いました。両者の会議における活躍は、会議に参加していた多くの国会議員のみならず事務局からも高く評価されました。

本会議は5月25日に終了しました。

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5月16日 妊産婦死亡は20年で半減、しかしさらに迅速な進展が必要

2012年5月16日
ニューヨーク 国連

妊娠・出産関連での女性の死亡者数は、この20年間でほぼ半減したと、世界保健機構(WHO)、国連児童基金(ユニセフ)、国連人口基金、世界銀行は、本日最新の推計を発表した。

国連人口基金事務局長のババトゥンデ・オショティメインは、次のように語っている。「妊娠・出産で亡くなる女性の数が減り続けていることはとても喜ばしいことです。これは、国連人口基金やその他の開発パートナーたちによる途上国への支援の努力が実を結んだことを示しています。しかし、ここで留まってはいけません。すべての妊娠を望まれたものにし、すべての出産を安全にするために、私たちは活動し続ける必要があるのです」。

妊産婦死亡率の動向:1990~2010』によると、1990年から2010年の間、妊産婦死亡数は年間543,000件から287,000件になり、これはおよそ47%の減少となる。ほとんど全ての地域で大きな成果が上がった一方で、サハラ以南アフリカの多くの国々では、1990年から2015年までに妊産婦死亡を4分の3減少させることを目指している国連ミレニアム開発目標(MDGs)を達成できる見込みはない。

2分に一人の女性が、妊娠関連の合併症で死亡している。主な原因としては、出産後の大量出血、感染、妊娠中の高血圧、危険な方法での中絶などの4つが挙げられる。これらの死亡の99%は開発途上国に集中しており、そのほとんどが適切な処置があれば避けることができるものである。

「どうすれば死亡を避けることができるか、私たちはよく分かっています。例えば、自発的な家族計画を実行できること、助産技術を持つ専門技能者を育成すること、合併症に対応するための緊急産科ケア体制を整える、などが挙げられます。こういった処置で命を救えることが証明されてきましたし、MDGsの目標5の達成に向けての進展を加速することができるはずです」とオショティメインは言っている。

妊産婦死亡率に関しては、国や、地域によって格差があり、そのうちの3分の1は、たった2つの国で起きている。例えば2010年には、妊産婦死亡の約20%(56,000件)はインド、また14%(40,000件)はナイジェリアである。また、世界で最も死亡率の高い40カ国のうち、36カ国はサハラ以南アフリカである。
東アジアでは避妊実行率が84%あり、死亡率を下げるのに大いに成果をあげたのに対し、実行率が22%に過ぎないサハラ以南のアフリカ諸国は、死亡率が最も高い地域となっている。

「毎年25万人以上の女性が、妊娠・出産で命を落としている。そして、2億1500万人の女性が、近代的な避妊薬(具)を利用できないでいる。この自発的な家族計画の必要性に応えることは、人権を守るというだけにとどまらず、妊産婦死亡を3分の1減らすことにもなる。これが、最も費用対効果が高い公衆衛生対策である」とオショティメインは述べている。

報告書には、以下のことも記載されている。
・2010年に、世界の妊産婦死亡率は出生10万に対し210だった。最も高い死亡率はサハラ以南アフリカで、10万の出生に対し500である。

・サハラ以南アフリカでは、39人に1人が、妊娠・出産に関連した合併症により命に関わる生涯リスクに直面している。東南アジアでは、そのリスクは290人に1人、先進国では3800人に1人の割合である。

・世界の妊産婦死亡の60%を占める上位10カ国:インド(56,000)、ナイジェリア(40,000)、コンゴ民主共和国(15,000)、パキスタン(12,000)、スーダン(10,000)、インドネシア(9,600)、エチオピア(9,000)、タンザニア(8,500)、バングラデシュ(7,200)、アフガニスタン(6,400)。

・MDGsの目標5である、妊産婦死亡率の75%削減を既に達成した10カ国:ベラルーシ、ブータン、赤道ギニア、エストニア、イラン、リトアニア、モルジブ、ネパール、ルーマニア、ベトナム。

これまで、妊産婦死亡に関する信頼できる情報が不足していたため、進捗を正確に評価することが難しく、これが大きな課題となっていた。開発途上国の多くは、妊産婦死亡者数の統計をとっておらず、特に女性が家で死亡した場合などは死因も正確に記録されていない場合がほとんどである。今回の最新の推計の分析には、そのような場合も統計に含まれている。

「この新しい推計は、世界の妊産婦の健康がいかに改善され、データの質もどのように改良されているかということを表しています。また国連機関が、世界の女性や女児の生活環境改善のために、共に協力して仕事を進めていることを示しています」と国連人口基金事務局長は述べている。

関連リンク:
本部のプレスリリースは こちら
妊産婦死亡率の動向:1990~2010』レポート及び2012年の予測(英文)は こちら
母親の命を守る活動(英文)は こちら
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