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2011年10月26日 ロンドン

あと5日で世界人口は70億人に達する。本日発行の「世界人口白書2011」によると、私たちが今どのように行動するかによって、世界が健康で、持続的で、豊かな未来になるか、あるいは不平等で、環境が衰退し、経済的に後退するかが決まる、と述べられている。

「自分たちのためだけでなく、世界全体のための選択ができるように、計画的で適切な投資をすることが出来れば、この70億人の世界は変わります。都市は繁栄し持続可能になり、生産的な労働力により経済成長が促進され、若者の活力によって社会全体が健全になるでしょう」と、「人口70億人の世界:一人ひとりの可能性」と題した世界人口白書の中で事務局長ババトゥンデ・オショティメインは述べている。

この記録的な人口増加は、人類の成功であると白書は指摘している。なぜなら、人々がより長く生きることが可能になり、世界中でより多くの子どもの生存率が上がっているということを意味しているからである。しかし、すべての人々がこの人類の成果あるいは質の高い生活を享受できているわけではない。国際的にも、また国内においても未だに大きな格差が存在している。権利や機会の不均衡は、男性と女性、少年と少女の間にも存在している。不平等を増幅させたり強化させたりするのではなく、平等を促進させる方向に舵を切ることがこれまでになく重要になってきている。

事務局長はロンドンでの白書の発表にあたって、「70億人の節目であるこの日は、挑戦であり機会であるとともに、一人ひとりの行動を呼びかける時です」と述べた。この白書は、他にも世界中の100都市以上で発表された。

「70億人の世界のうち18億人が10歳から24歳の若者です。創造性と変革する力により、世界の政治状況を一変させ、世界経済を推進させることのできる、彼らが将来への鍵を握っていると言えます。今こそ、若者のこうした強力な潜在能力を発揮する機会を与える必要があります。私たちは、若者の健康と教育に対して投資していかなければなりません。この世代に投資することは、次の世代での素晴らしい経済的な成長や発展につながるのです」とオショティメインは強調する。

「今日のこの節目は、私たちが今こそ行動しなければいけないと再認識する機会です。1994年にカイロで開催された国際人口開発会議(カイロ会議)での行動計画によって、一人ひとりが自らのリプロダクティブ・ヘルスに関して決定をすることができると呼びかけたことは、将来のための最高の指針になると言えるでしょう。」

「2014年のカイロ会議の20周年が近づいていますが、公正な経済と社会的発展への道のりは、国連人口基金の活動のまさに核をなすものであると言えるでしょう。しかし、私たちの仕事はまだまだ達成には程遠い状態です。開発途上国には、家族計画を実行することができていない出産可能年齢の女性が2億1500万人います。避妊やHIVから自分を守るための性教育や情報をほとんどもたない青年期の若者が何百万人もいます。女性の地位が低い場所では、乳幼児や子どもの生存率も低い状態です。私たちは、経済的・法的・社会的な障壁を取り除き、生活のあらゆる場面において、すべての人々が対等な立場に立てるようにしなければなりません」

世界人口白書は、人口統計学者、政策立案者、政府、市民社会、そして個人が、高齢者から急速に増加している若者、人口増加から人口減少、そして高速な都市化から増加しつつある国際人口移動などの様々な人口動態に取り組んでいる現場からの報告が中心となっている。中国・エジプト・エチオピア・フィンランド・インド・メキシコ・モザンビーク・ナイジェリア・マケドニア・旧ユーゴスラビア共和国などの事例が取り上げられている。