10月11日は「国際ガールズデー」です。ジェンダー不平等や女性に対する暴力等、世界中の女性たちが直面している問題に国際社会が協力して取り組むために2011年12月19日、国際連合によって採択された国際的な記念日です。
UNFPA事務局長ナタリア・カネムは、10月11日「国際ガールズデー」に際し、以下の声明文を発表しました。
10月11日「国際ガールズデー」に寄せてー事務局長ナタリア・カネム
女の子はパワーを持って生まれてきます。すべての女の子は、大人になるにつれて開花し、自分の未来を、そして世界を形成していく可能性を秘めています。
気候変動対策や普遍的教育などを求める運動の先頭に立っている少女たちのように、その例は至るところに見られます。自身の持つ可能性を開花させた素晴らしい女性たちの変革の足跡は、法律の制定、人々の命を救うワクチンの開発、テクノロジーの最前線など、あらゆるところに見られます。
しかし、世界には、本来持っている力を発揮できない少女が大勢います。彼女たちの権利は否定され、彼女たちの選択と成長の機会は損なわれています。その結果、彼女たちが達成し得たはずのこと、彼女たちのビジョン、創意工夫、そして情熱が世界に与えうることを逃しているのです。
国際ガールズデーを迎えた今日、私たちはデジタル世代の少女たちを祝福します。彼女たちは新しいテクノロジーの力を活用して、すべての人にとってより良い未来を切り開いています。しかしその一方で、現在そして生涯にわたって彼女たちを組織的に制限するジェンダー不平等によって取り残されている少女と女性に対する支援が急務です。こうした不平等はインターネットにも及び、女子のインターネット利用率は男子よりも低く、国によっては4倍も低い場合もあります。この情報格差は、長年のジェンダー格差をさらに広げるものです。
新型コロナウィルスのパンデミックは、不平等がいかに速く拡大するかを示しています。学校が閉鎖され、インターネットにアクセスできない少女たちは、教育や健康に関する情報やケアを受ける機会を失っています。多くの地域では、教育を受けられない少女たちが自らの意思に反して結婚させられるリスクが高まっています。多くの権利の実現には、少女たちが情報を見つけ、仲間とつながり、社会運動を起こし、自分のアイデンティティを探り、生理を管理し、ハラスメントや暴力の被害に対するサポート受けるのに役立つインターネットへのアクセスがますます重要となっています。
このようなアクセスがなければ、少女たちは、性と生殖に関する健康と権利、からだの自己決定権を享受するための大きな障壁に直面することになります。難民キャンプや貧しいコミュニティにいる少女たちは、性と生殖に関する健康上のニーズに親身に理解をもって対応してくれる身近なサービスを受ける選択肢をなかなか得ることができません。性や性自認に関する質問をすることに恥ずかしさを感じるかもしれませんが、ネット上の匿名性の高い世界であれば容易に克服することができます。
デジタル技術には、もちろん不都合な面もあります。インターネットにアクセスできる少女たちは、近年増大しつつあるさまざまな形のサイバー暴力のリスクに直面しています。また、障害のある少女たちのインターネットへのアクセスは不十分であり、言語によっては利用が非常に限られてもいます。これらの問題もまた、ジェンダーの力関係の不均衡を反映しています。
私たちは、不平等を助長するようなデジタルの世界を容認してはなりません。むしろ、少女たちのためにジェンター格差を是正するために、これらのツールを活用しましょう。例えば、UNFPAがモンゴルの若者に正確な性と生殖に関する健康情報を提供するために開発した新しいチャットボット「Mandukhai」のようなプロジェクトがあります。少女たちの人権とからだの自己決定権を保障するためにテクノロジーを活用しましょう。例えばインドで、ある若い女性が、UNFPAが支援した「エデュテイメント」サービスが提供する情報を利用して、友人を児童婚から救ったこともありました。
これらのツールを使うだけではなく、開発する少女もいます。彼女たちを支援しましょう。UNFPAは、多くの国で民間企業のパートナーと協力して、少女たちがより平等な未来のために革新的なデジタルソリューションをデザインするのに必要なメンターシップやリソースを提供しています。
すべての人がアクセス可能で安全なデジタル世界を実現し、すべての少女が自分の可能性と能力を最大限に発揮できる未来を一緒に創造していきましょう。
●UNFPAは、人類が直面している人口問題に、単なる「数」の問題ではなく、一人ひとりの「尊厳」に関する問題として取り組んでいます。是非、UNFPAが4月14日に発表した世界の人口問題の進捗や潮流についてまとめた「世界人口白書2021」もご覧ください。