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パキスタン大地震で最も大きな被害を受けた2地域で、6つの巡回医療チームが保健医療ケアの提供を開始しました。パキスタンが実効支配するカシミール(Kashmir)地方の中心都市ムザファラバード(Muzzafarabad)では、支援活動の初日に巡回医療チームの一つが、地域の病院で3人の赤ちゃんを取り上げました。

国連人口基金(UNFPA)では、ムザファラバードとマンセラ(Mansehra)に、周辺地域から巡回医療チームを派遣しました。中心部から離れた地域は、道路が修復され、医療設備が整い次第、巡回することになっています。

また、国連が行なう人道支援の一つとして、国連人口基金は“安全な母性(safe motherhood)”に重点を置き、保健医療ケアの復興の支援を行なっています。2つの地域病院では、緊急産科ケアに対応する能力の向上に取り組んでいます。

それぞれの巡回医療チームでは、女性の医師と看護助産師が1日平均250人の患者の診療を行なっています。二人は患者に対し、妊産婦検診や婦人科治療の他に、被災した子どもや大人に影響するような様々な病気にも応対しています。

最初に診療した患者の中には、被災のトラウマが原因で死産した女性もいました。

国連人口基金が支援している医療チームは、すでに被災地域の保健医療チームに加わり、国連人口基金が行なう緊急医薬品、医療機材、テントや毛布などトラック8台分の提供といった支援に迅速に対応しています。

今週、大量のリプロダクティブ・ヘルスに関わる緊急支援物資が、デンマークにある国連人口基金資材倉庫より空輸されます。産科キットを含むこれらの支援物資は、巡回医療チームや政府、NGOによって運営される医療施設で使用されます。

さらに国連人口基金では、連携している団体が避難キャンプで配布する石鹸、タオル、暖かい衣類などの衛生用品を調達しています。

国連人口基金は今後、若者を含む被災者のための心理社会的カウンセリングの提供を計画しています。さらに、女性の保護とプライバシーを考慮した避難キャンプにするために、他機関と連携を図りながら取り組んでいます。

国連人口基金パキスタン代表フランス・ドネイ(Dr.France Donnay)は、ムザファラバードとマンセラを訪れ、次第に厳しくなるヒマラヤの自然環境の中で貧困とトラウマを抱えた家族を緊急に救済する必要を強く訴えています。そして、「虚弱な女性や思春期の少女はこのような事態下において保護が必要です。」「彼女達には適切な保健医療ケアが必要なのです。」と話しています。

パキスタンへの合同人道支援アピールの一環で、国連人口基金は拠出国に対し220万ドルのリプロダクティブ・ヘルスのニーズへの支援、および100万ドルの衛生用品への支援を要請しています。