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国連人口基金(UNFPA)は先月のイラン・バム市(Bam)を襲った大地震に伴い、悪化する衛生状態とリプロダクティブ・ヘルス・サービスの欠如が何千人ものイラン女性の健全な生活を脅かしている、と警告している。

国連人口基金はイランの保健・医学教育省やその他の国内機関が医療器具やリプロダクティブ・ヘルス用品を購入できるよう緊急資金を提供し、現在では保健省とイラン家族計画協会とともに被害のあった地域でシャワーを含む360の衛生設備の設置を開始している。12月26日の大地震により病院3つを含むバム市の建物の85%が倒壊し、死者数は4万1千人余と推定されている。インフラの崩壊の他に状況を更に悪化させているのは、市の半数以上の医療従事者が命を落としたことであり、その結果、近隣地域の保健医療システムが麻痺している。国連人口基金は3千130万ドルの人道支援を表明することになった複数の国連機関による合同調査ミッションに参加、現地の最低限のリプロダクティブ・ヘルス・ニーズに対応し、また女性への支援として71万ドルを各ドナーに要請中である。

イランの国連人口基金副代表シャラレ・アミルカリリ(Sharareh Amirkhalili)は「生存者が被災地に戻り、復興が開始すれば、リプロダクティブ・ヘルスに関する問題は人道的優先課題として扱われなければならない。医療従事者とサービスを失ったことにより、妊産婦はより脆弱な立場に立たされ、その他の女性は望まない妊娠や生殖器系の感染症の危険にさらされている。」と表明した。またアミルカリリは、女性と女の子は生き残った家族の面倒をみなければならず、人道援助物資が配布されている場所へ足を運べないため、より厳しい立場に置かれている、と述べた。「ただ成人している家族を失い、絶望的な経済状況に陥っている多数の女性がいるにもかかわらず、援助物資配布場所に現れるのは若い男性である。」

このような状況に対応するため、国連人口基金や女性参画センター(the Centre for Women’s Participation)、識字率運動機構(the Literacy Movement Organization) は稼ぎ頭を失った女性や家族を支援する体制を整えつつある。

国連人口基金の支援における優先分野は以下である。

•臨時の保健医療施設の設置
•必要不可欠な医薬品/医療機材およびリプロダクティブ・ヘルス用品の供給
•保健医療従事者へのリプロダクティブ・ヘルスに関する研修の実施
•健康に関する情報提供
•被災者のネットワーク構築や女性、女児の保護に関する法案の起草など、女性や女児の困難な状況を改善するためのプログラムの実施