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イスタンブール/ロンドン、2022年1月28日 

国連人口基金(UNFPA)とロンドン大学が本日発表した新しい調査によると、高齢者の孤独感の解消には、身の回りのサポートが不可欠であることが明らかになりました。目に見える形でのサポートとして、食料品の買い物の手伝いなどが有効な具体例として挙げられています。

2021年半ばに実施されたこの共同調査は、東ヨーロッパの6つの国と地域(アルバニア、アゼルバイジャン、ボスニア、ヘルツェゴビナ、ジョージア、セルビア、およびコソボ(国際連合安全保障理事会決議1244による))の65〜85歳の高齢者を対象としています。

「孤独は、高齢者の心身の健康に大きなリスクをもたらし、アクティブ・エイジング(健康的な高齢化)を目指す努力が損なわれてしまう」と、UNFPA東欧・中央アジア地域事務所長ジュリア・ヴァレーゼは訴えます。

「この調査によって、私たちは孤独感を引き起こすリスク因子を特定し、高齢者の孤独感を軽減する取り組みについて理解することができました」。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、多くの高齢者が直面するこの課題にスポットライトが当てられたことで、高齢者の孤独感への対策を行うだけでなく、あらゆる年齢の全ての人々にとって住み良い社会を実現するための政治的な動きにつながりました」と地域事務所長ヴァレーゼは付け加えます。

 

東ヨーロッパでは、長寿化、少子化、および海外への移住などの影響で、人口が急速に高齢化しています。このような状況下では、人々が健康に、そして社会の積極的な参加者として歳を重ねられる保証をすることが重要です。しかし、この調査によれば、高齢者の10人に8人、つまり79%が、中程度または非常に孤独を感じているとされています。

今回の調査を主導したロンドン大学で神経科学を専門とするタラ・ケック教授によると、「身の回りのサポートの欠如が孤独感の顕著なリスク要因であるという発見は、高齢者の孤独感解消に最も有効な介入方法を炙り出しました。 これらのニーズに対応することで、地域の高齢者が健康的に歳を重ねることができます」と述べています。

調査によると孤独感の他のリスク要因としては、身の回りのサポートに加え、社会的なネットワークが狭いことや、一緒に楽しい時間を過ごす人がいないこと、社会的な自信が低いことなども挙げられています。また、この調査は、感情面へのサポートと孤独感との関連性がほとんどないことを発見しました。その他のリスク要因ー例えば 一人暮らしであること、全般的な幸福の度合い、メンタルヘルスのために支援を求めているかどうか、聴覚障害の有無、愛情に満ちた支援の有無や人間関係の親密さの度合いなどーも、孤独感とはほとんど関連性がないことが明らかになりました。

その他にも、配偶者の有無や性別、居住地が都市部または地方か、家計の状況、健康状態全般、インターネットへのアクセスと使用程度など、多くの人口統計学的な指標も孤独感とは関連がないことが明らかになりました。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前または流行後のさまざまな社会活動なども、孤独感とは関連がないと発表されました。

 

調査対象の6か国・地域すべてで孤独感の度合いは同程度ですが、リスク要因は国や地域によって異なります。調査報告書は、高齢者の健康とウェルビーングに重点を置き、高齢者の権利と尊厳を保護する国家レベルの政策の採択を推奨しています。高齢者を対象とした身の回りのサポートを提供するためには、地域及び国家レベルでの制度設計の必要性を強調しています。

具体的に推奨されている制度の例としては、自宅への訪問医療や身の回りをサポートする地域のボランティア、電話またはオンラインでの医療および社会的サービスの提供などが含まれます。 デイセンターなどの施設で、高齢者が健康的で活動的に歳を重ねるためのグループ活動の促進も、社会的なネットワーク構築・拡大に貢献し、コミュニティを基盤とした身の回りのサポートを充実させることにもつながります。 

 

関連リンク(すべて英語):

 

問い合わせ先:

内野恵美、プログラムアナリスト(人口と開発)、東欧・中央アジア地域事務所、uchino@unfpa.org

Jens-Hagen Eschenbaecher UNFPA 東欧・中央アジア地域事務所

eschenbaecher@unfpa.org +905487493655

Chris Lane ロンドン大学

chris.lane@ucl.ac.uk、+44(0)7717728648