Go Back Go Back
Go Back Go Back
Go Back Go Back
Go Back Go Back

ジェンダーに基づく暴力

ジェンダーに基づく暴力

ジェンダーに基づく暴力

ジェンダーに基づく暴力(Gender-based violence: GBV)とは

女性と女児に対する暴力は、世界で最もよく見られる人権侵害の1つです。社会的階層、経済状況、国を問わず、全世界でジェンダーに基づく暴力の被害が発生しています。全世界で、約3人に1人の女性が、生涯に身体的または性的虐待を経験しているとされています。

ジェンダーに基づく暴力は、サバイバー(生存被害者)の健康、尊厳、安全、自主性を損ないますが、それでも     被害の現状は沈黙に包まれたままです。暴力の被害者は、強制妊娠や望まない妊娠、安全でない中絶、フィスチュラ(産科ろう孔)、HIVを含む性感染症、さらには死さえも含む、性や生殖に関する健康への影響を受ける可能性があります。

UNFPAは、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを推進し、ジェンダーに基づく暴力の身体的および精神的な影響に取り組む国連の主要機関の1つです。UNFPAの活動は、生存者に心理社会的支援、医療支援やサバイバーの治療に必要なレイプトリートメントキットを提供し、すべての女性と女児が暴力と虐待のない生活をする権利を促進しています。

ジェンダーに基づく暴力の問題は世界中で見られます。この問題の影響を受ける女性と女児の数は驚くべきもので、 2013年の世界保健機関(WHO)のデータによると、3人に1人の割合で女性が暴力を受け、性行為を強要され、また他の方法で虐待されています。2014年の報告によると、5人に1人の女性が子どもの時に性的虐待を受けています。

また、WHOのデータによると、身体的または性的に虐待された女性は、低出生体重児を産む可能性が約16%も高く、中絶を受ける可能性は2倍にもなります。 UNAIDS(国連合同エイズ計画)の2013年の報告によると、一部の地域では、HIVに感染する可能性が50%も高くなっています。

ジェンダーに基づく暴力は、女性や女児の権利を侵害するだけではありません。加害者の刑事免責や、加害者の行動が引き起こす恐怖は、すべての女性と女児に影響を及ぼします。さらに女性と女児が国際開発、平和や発展にもたらすことができる貢献を妨げることになり、世界レベルで多くの損害をもたらすことになるのです。

 

         サバイバー(生存被害者)への支援

女性団体や政府、その他のパートナーによる幅広い取り組みにもかかわらず、暴力の対象となっている多くの女性と女児は、依然として安全、健康、および法律などの司法へのアクセスを提供する必要不可欠なサービスを受けることが出来ていません。このような状況に対処するために、2013年にUNFPAとUN Womenは、『暴力の対象である女性と女児のための不可欠なサービスに関する共同グローバルプログラム(Joint Global Programme on Essential Services for Women and Girls Subject to Violence)』を開始しました。他の国連機関と連携し、同プログラムは、健康、また警察や法的支援を含む司法、心理社会的カウンセリング、ヘルプラインや安全なスペースの確保(セーフハウス)などの社会サービス、また連携調整やガバナンスに着目し、サービスの質を確保し、サービスへのアクセスを向上するためにガイダンスを作成しました。

UNFPAはまた、性と生殖に関する健康に関するプログラムを通じて、ジェンダーに基づく暴力に関する取り組みにおいても重要な役割を果たしています。医療サービスは、虐待の生存者が援助を求める最初の場所の1つです。性と生殖に関する健康と権利における国連のリード機関として、UNFPAは被害を受ける女性と女児を支援する重要な役割を持っています。ほとんどの女性は 、たとえ僻地であっても、少なくとも一生に一度は家族計画や妊産婦保健サービスを受けようとしているため、医療は暴力に関する情報や援助の重要なエントリーポイントとなっています。

UNFPAが支援する保健プログラムは、虐待のない生活をする権利など、女性と女児の権利に関する情報を提供しています。これらのプログラムはまた、生存者を支援するためにレイプトリートメントキットなどの必要不可欠な医療品を提供したり、心理社会的カウンセリングや法的カウンセリングを提供しています。例えばルワンダでは、UNFPAは他の国連機関と協力して、生存者の様々な身体的、心理的、また社会的なニーズに対応するための「ワンストップセンター」を設けています。

UNFPAはまた、女性に対する暴力が深刻化する人道的危機においてジェンダーに基づく暴力の被害に遭った生存者も支援しています。例えば、エチオピア、コンゴ民主共和国、スーダン、ハイチ、ウガンダ、シエラレオネ、バングラデシュ、ネパール等多くの国におけるUNFPAの人道支援には、ジェンダーに基づく暴力を経験した人々への支援も含まれていました。

         女性に対する暴力を終わらせるために

開発や人道的危機における女性に対する暴力への取り組みは、UNFPAにとって戦略的優先事項です。これには女性性器切除(FGM)や児童婚などの有害な伝統的慣習をなくすことも含まれます。UNFPAは135カ国で女性に対する暴力に取り組むために活動しており、2015年にはジェンダーに基づく暴力と有害な伝統的慣習を排除するために9,300万ドル以上を投資しました。また、暴力に関する事件を正確に記録するためのデータを収集し、ジェンダーに基づく暴力に関する国内法や政策を策定し、執行し、改革するための支援も提供しています。例えばモーリタニアのUNFPAのプロジェクトでは助産師がイマーム(イスラム教指導者)と協力して性暴力を撲滅するための活動を展開しました。これにより、この問題に関する初の全国統計が作成され、生存者のために最初のセンターが設立されました。

UNFPAやその他の国連機関もまた、世界中で女性と女児に対する暴力を終わらせるために活動しています。UNFPAは、女性に対する暴力に関する関係機関タスクフォースの共同議長を務め、国連事務総長が率いる世界的なキャンペーンである、「女性に対する暴力撤廃のためのUNiTEキャンペーン(UNiTE to End Violence against Women)」の主要パートナーです。そして、UNFPAは、「ストップ・レイプ・ナウ―紛争における性的暴力を止めるための国連の活動(Stop Rape Now: UN Action to Stop Sexual Violence in Conflicts)」のメンバーです。 UNFPAは国連のジェンダーテーマグループの議長を務め、特に人道支援において、ジェンダーに基づく暴力に対する活動の調整をしています。さらに、2007年以来、UNFPAはユニセフと共同で女性と女児を傷つける有害な伝統的慣習である女性性器切除(FGM)の廃絶を奨励する共同プログラム(Joint Programme to End Female Genital Mutilation/Cutting)を実施してきました。

日本政府からの支援を受けて、国連人口基金が実施した世界各国でのGBVに関する活動の詳細についてはこちらをご覧ください。