妊産婦の健康を守る基金
「妊産婦の健康を守る基金」は、2008年に国連人口基金が、ミレニアム開発目標5(妊産婦の健康の改善)を達成するために設立した基金で、国連人口基金の活動の中でも、特に妊産婦と新生児の命と健康を守る活動に資金を充てています。
「妊産婦の健康を守る基金」は、
・各国の保健計画の策定および実施を支援し、各国の自発的な開発を促す
・各国の運営力を高め、持続可能な活動を支援する
という二点を原則としており、各国の医療制度の問題点の調査・分析を支援しています。また、これに基づく政策策定を促し、各国が安全な妊娠・出産を支援する体制を整え、それを運営していけるよう働きかけています。
主に、以下の4つの分野において経済的・技術的支援を行っています。
(1) 家族計画の普及
(2) 専門技能者の立会いによる出産の普及
(3) 緊急産科ケア・新生児ケアの普及
(4) フィスチュラ(産科ろう孔)の撲滅
「妊産婦の健康を守る基金」による活動は、国連機関や各国政府、NGOなどの市民社会と連携して行われています。2015年までにミレニアム開発目標5(妊産婦の健康の改善)の達成が特に危ぶまれている国を支援しており、2010年はサハラ以南アフリカ、アジア、ラテンアメリカおよび中東の30カ国を中心に支援しました。また、この30カ国を含む42カ国において「フィスチュラ撲滅キャンペーン」を実施しました。
運営費に関しては、2010年は、約2,700万米ドルの活動予算から、約2,100万米ドルが支出されました。残金は2011年の活動に充てられます。
これからの活動
ミレニアム開発目標5の「2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の水準の4分の1に削減する」という具体的目標を達成させるためには、妊産婦死亡率の年間削減率を、現状の2.3%(1990年~2008年)から5.5%に引き上げなくてはなりません。また、「 医師・助産師の立会いによる出産の割合を90%に引き上げる」というもう一つの具体的目標を達成させるためには、助産師不足が深刻な38カ国において、11万2,000人の助産師が新たに必要であるといわれています。「妊産婦の健康を守る基金」では、引き続き4つの主な活動分野において、必要な医療物資や資金の確保に努めていきます。また、2013年までに60カ国に支援を拡大する予定です。
「妊産婦の健康を守る基金」の詳しい活動については、「Annual Report 2010: Maternal Health Thematic Fund」をご覧ください。
国連人口基金東京事務所では、皆さまからの寄付を受け付けています。いただいたご寄付は、この「妊産婦の健康を守る基金」に組み込まれ、妊産婦と新生児の命と健康を守る活動に充てられます。ご協力いただける方は、寄付のページをご覧ください。