2021年12月22日に、国連人口基金(UNFPA)カンボジア事務所はウェスレー財団と、カンボジアの女性と少女達をジェンダーに基づく暴力から守ることを目指したパートナーシップ契約を締結しました。このパートナーシップを通し、持続可能な開発目標 (SDGs)、中でも目標3「すべての人の健康と福祉」と目標5「ジェンダー平等の実現」の達成に向けて取り組んでいきます。
カンボジアでは、30%以上の女性が生涯のうちに精神的・身体的・性的な暴力を経験しており、その被害は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてさらに深刻化していると考えられます。暴力被害者のための政策やサービスは存在するものの、多くの暴力被害者はそれらの支援を受けることが出来ておらず、配偶者から暴力を受けた女性のうち約24%しか公的なサービスにアクセス出来ていないと言われています。その一方、近年のインターネットやSNSの急速な普及を受けて、より多くの人々が必要な情報やサービスをインターネットで調べており、ジェンダーに基づく暴力に関連する検索数は、コロナの感染拡大以前と比べて1.5倍も増加しています。
この度、UNFPAカンボジア事務所はウェスレー財団の支援を受けて、カンボジア女性省と協働し、カンボジアの女性と若者達をジェンダーに基づく暴力から守ることを目的とした、スマートフォンアプリの開発と導入のプロジェクトに取り組みます。このアプリを通して、ユーザーが差別や暴力の形態、暴力行為やハラスメントへの対応方法についての基本的知識を身に付け、緊急時には身の危険を通報出来るようになることで、暴力被害の発生を未然に防ぐことを目的としています。さらに、ニーズに沿ったサービスを迅速に届けることが出来るよう、被害者へのサポートを提供しているセクター間の連携を強化していきます。
UNFPAカンボジア代表 ムリロ・ゴールデンは、「女性と少女達が、家庭や地域で暴力やハラスメントに脅かされることなく安心して暮らせることは、UNFPAの掲げる優先課題の一つです。本プロジェクトによる新たなデジタル技術の導入が、コロナ禍およびその後の生活において、弱い立場に置かれている女性と少女達をあらゆる形態の暴力から守ることが出来ると期待しています」と話しています。
ウェスレー財団の小海光代表理事は、「女性のエンパワーメントには、暴力や差別を恐れることなく、それぞれに与えられている賜物を自信と喜びを持って用いていくことができる社会作りが必須です。このプロジェクトが、カンボジアの女性と少女たちのエンパワメントを促進し、アジアさらには世界でのジェンダーに基づく暴力撤廃につながることを期待しています」とコメントを寄せています。
本プロジェクトは2022年2月より開始される予定です。本活動を通して、カンボジアの女性や少女達が暴力から身を守るために必要なサービスと情報にアクセス出来るようになり、カンボジアでのジェンダー平等とジェンダーに基づく暴力の撲滅の実現に寄与出来るよう、努めてまいります。
国連人口基金(UNFPA)について
UNFPAは、すべての妊娠が望まれ、すべての出産が安全に行われ、すべての若者の可能性が満たされるために活動する国際機関です。カンボジアでは1993年より事務所を置き、持続可能な開発目標(SDGs)および国際人口開発会議(ICPD)行動計画の達成、すなわち性と生殖に関する健康・権利に関連するサービスと情報に全ての人がアクセスできること、妊産婦の削減などを目指しています。
ウェスレー財団について
ウェスレー財団は、日本を含むアジア・太平洋地域において教育、社会福祉向上のために働いた宣教師達のレガシーを受け継ぎ、2010年に設立された公益財団法人です。信仰と希望と愛の実践をモットーに、日本さらには世界で社会課題解決のために働くリーダーの育成をミッションとして、国内外でのセミナー、助成金事業、国際協働プロジェクトなどを行なっています。
問い合わせ
国連人口基金 カンボジア事務所
増田智里 助産専門官
Phnom Penh Centre (North Building), 5th Floor, Room 526, Tonle Bassac, Chamkar Mon Phnom Penh, Cambodia
Tel.: +855-23 215 519/216 295, Email: masuda@unfpa.org
ウェスレー財団
小海 光 代表理事
〒107-0062 東京都港区南青山6‐10‐11 ウェスレーセンター301
Tel.: +81-3-6427-4696, Email: h.k.chang@wesley.or.jp