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5 月28~30日、40カ国以上のアフリカ諸国首脳、国際機関・地域機関の代表、G8およびアジアを含むパートナー諸国、民間セクター、市民社会組織の参加を得て、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)が横浜で開催されました。

TICAD IV開会に寄せて行った演説のなかで、福田首相はアフリカの人口問題について触れ、リプロダクティブ・ヘルスの重要性を再確認しました。また、日本が誇る母子健康手帳のシステムを紹介し、妊産婦と子どもの健康維持の必要性を強く訴えました。日本政府は、アフリカの保健・医療分野で貢献した人物を表彰する「野口英世アフリカ賞」を設立し、28日、天皇・皇后両陛下や各国首脳の臨席のもと、第1回野口英世賞をブライアン・グリーンウッド博士(英国)とミリアム・ウェレ博士(ケニア)の両氏に授与しました。既にお伝えしたとおり、ウェレ博士は、1993~2000年、国連人口基金アディスアベバ(エチオピア)技術支援事務所長として活躍した、国連人口基金の元職員です。

国連人口基金事務局長トラヤ・A・オベイドは、初日に開かれた全体会合に出席したほか、福田首相夫人主催で開かれたアフリカ各国首脳夫人との昼食会に出席しました。この昼食会では母子保健をテーマに議論が行われ、福田首相夫人も自身が実際に使っていた母子手帳を見せ、アフリカの首脳夫人らに母子手帳の普及を呼びかけるなど、女性の立場からアフリカの発展を支援したいと訴えました。事務局長は、妊産婦、新生児、子どもの保健医療の向上について訴え、若年結婚や若年出産などの慣習をなくすこと、ヘルス・システムの強化、そして、保健医療の専門技能者の育成の必要性などを呼びかけました。

2日目の29日、事務局長は保健に関する分科会に出席し、保健医療、人間の安全保障とミレニアム開発目標(MDGs)の達成について発表を行いました。そのなかで、保健は社会全体が目指すべき目標というだけでなく、人権であり、そして、人間の安全保障の中核をなす要素でもあると述べたうえで、保健分野の進展を促進するためには、首脳レベルでのコミットメントが必要であると訴えました。また、MDGsのなかでも、幼児死亡率や妊産婦の健康の改善、そして、感染症対策に関する目標を達成することは貧困削減につながることを指摘し、最後に、女性の健康の改善を開発政策の優先事項とするよう各国首脳に訴え、財政支援増加の必要性を強調して締めくくりました。

最終日の30日に40カ国以上の首脳によって採択された「横浜宣言」では、前回のTICAD III以降にアフリカで見られる政治・経済両面での進展に焦点を当て、成長の加速化、MDGsの達成、平和の定着とグッド・ガバナンス、環境・気候変動問題への対処、パートナーシップの分野において、アフリカの開発のために国際社会の取組を強化することを謳っています。また、「横浜宣言」とともに採択された「横浜行動計画」は、TICADという枠組みを通じて、今後5年間で具体的にどのようにアフリカの成長と発展を支援していくべきかを示す行程表(ロードマップ)とも言うべきもので、分野ごとに取るべき行動が記されています。保健分野については、保健医療従事者の育成や保健インフラ整備などを含む保健システムの強化、母子保健の改善、感染症対策について記述されています。また、各分野に共通する課題のひとつとして、ジェンダーの視点への配慮が繰り返し述べられています。

TICAD IVが開催された3日間は、横浜全体がアフリカ一色に染まり、アフリカが直面している深刻な問題について考える良い機会となりました。また、福田首相のリプロダクティブ・ヘルスに関する発言や、母子保健に関する各国首脳との議論など、国連人口基金の活動に関わる問題に関心が払われたことは大きな成果であったと思います。TICAD IVでの議論を踏まえ、今年7月に北海道洞爺湖で開催されるG8での議論につながることを大いに期待しています。