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7月14日、国連人口基金(UNFPA)駐日事務所が主催する『世界人口白書2023「80億人の命、無限の可能性:権利と選択の実現に向けて」』日本語抜粋版の発表記念イベントが開催されました。

UNFPA駐日事務所 所長補佐の上野の司会進行のもと、UNFPA駐日事務所長の成田詠子による開会の挨拶で、イベントの幕が開けました。

続く祝辞では、衆議院外務委員長・国際人口問題議員懇談会(JPFP)事務総長である黄川田仁志氏が、「人口は多すぎるのか?少なすぎるのか?」という視点を問い直すことの重要性について説明されました。また、外務省の地球規模課題審議官 赤堀毅氏は、個々の体とその権利へのアクセスを確保すること、そして「基本的人権の尊重」の重要性について述べられました。

さらに、UNFPA人道支援局長である新垣尚子は、『世界人口白書2023』日本語抜粋版について、データを用いて詳しく説明。80億人を超える世界人口を構成する一人ひとりの人権に関する問題について、自らの経験を踏まえつつ、参加者に向けたメッセージを発信しました。

第一部は、東京大学UNiTe代表の萩野聡子氏による挨拶で幕が閉じられました。萩野氏は、文学に関する学びから得た視点から、曖昧な事柄や不明確な問題を受け入れ、耳を傾けることの大切さについて語りました。

第一部の様子

第二部のパネルディスカッションでは、ジャーナリストの有働由美子氏がモデレーターを務め、大学生から大学教授、外務省とUNFPAからのパネリストが、80億人に到達した世界が直面する課題について、議論が交わされました

「世界には人が多過ぎるのか、少な過ぎるのか」という問いに対して、「”数”ではなく、不平等という課題に目を向けるべきである」という白書の見解をどのように捉えるべきか、という論点で話し合いが行われました。

東京大学 UNiTeの 元代表 菅田利佳氏はこの問いかけに対して、「人口の数、政策に関してというより、若者の視点」を届けることの大切さを強調。また、自身が代表を務めていた学生団体UNiTeでの活動にも触れ、国連やSRHRなどの話題と若者をつなぐ文化・芸術の役割について語りました。

外務省国際協力局 国際保健戦略官室 主査の市野紗登美氏は、気候変動と世界の人口動態の関係について「G7長崎保健大臣宣言」を紹介しながら、白書でも指摘されているように「気候変動」と「人口動態」の関係について正しく理解をする必要性について語りました。

東京大学大学院 農学生命科学研究科 准教授である井筒節氏は、自身の専門であるメンタルヘルス(精神的な健康)と性と生殖に関する健康の関係性について説明。特に、SRHRについて話される際には、身体的な健康が注目を集めやすいが、他にもメンタルヘルスや心のケアにも目を向けていくことの必要性について述べました。

本イベントは、大阪赤十字病院新生児・未熟児科副部長、SRHR Japanの坂本晴子氏による閉会の言葉で幕を閉じました。坂本氏は、インクルーシブな社会の実現には、マイノリティである移民やLGBTQIA+の人々の性と生殖に関する健康・権利へのアクセスも重要であることを述べました。

第二部の様子

「世界人口白書2023」日本語抜粋版は、こちらからダウンロードできます。

「世界人口白書2023」日本語概要は、こちらからダウンロードできます。

「世界人口白書2023」日本語抜粋版発表記念イベント報告書(英語)

また本イベントは、朝日新聞でも取り上げられました。こちらからご覧いただけます。