今年の世界人口デーは、1人ひとりが生まれながらにして持っている価値や尊厳について考える機会になるよう「すべての人に価値がある(Everyone Counts)」がテーマです。
「すべての人に価値がある」というテーマは、“数”が“人々”について雄弁に語ることを意味しています。アジアでは、国勢調査やその他の調査によって、男女比率の不均衡や、“喪われた女児たち”の存在が明らかになったことで、政府が対策を講じ、メディアがこの憂慮すべき傾向について広く報道し、そして人々は行動を起こし始めました。ヨーロッパやその他の地域で、人口減少と高齢化対策として「補充移民(replacement migration)」が必要であるというデータ分析結果が出た際には、政策論議が白熱したこともありました。
データは、各国の驚くべき現状を明らかにします。女児の婚期が遅くなっていること、先住民族が様々な行政サービスを十分に享受できていないこと、また避妊実行率や助産師などが出産に立ち会う割合の上昇によりミレニアム開発目標5「妊産婦の健康の改善」につながっていることなどが実証されることもあります。国勢調査、その他の主要な調査、統計は、人々のニーズを満たし、生活を向上するために役立つ計画、政策、事業を立案するために不可欠なデータとなります。こういった数値データは、教育や、HIV予防・治療・ケア、そして性と生殖に関する健康を誰もが享受でき、ミレニアム開発目標を達成するために無くてはならないものです。
2010年は、多くの国で国勢調査が行われる年であり、国連人口基金(UNFPA)は各国政府に対して活発に支援を行っています。貧困を減らし、望まない妊娠をなくし、すべての出産が安全に行われ、すべての若者がHIV/エイズの脅威にさらされることなく生活し、すべての女性と少女が尊重され、尊厳ある人生を送ることができるよう、人口統計データを用いながら、様々な国の政策を支援するという国連人口基金の役割と理念の正に中核をなしているのが、国勢調査なのです。
人口増加率、年齢構成、出生と死亡、人口移動といった人口動態は、人間・社会・経済開発のあらゆる側面に影響を与えます。今回の国勢調査の結果は、今後数年間にわたり、統計制度、政策、事業に役立てられることになります。
世界人口デーに際し、国連人口基金は、女性、女児、貧しい人々、社会的に弱い立場に置かれた人々をはじめとする、すべての人の人権が認められるべきだと主張します。国勢調査と人口データは、開発援助や人道支援、復興援助において、不可欠な役割を果たします。精度の高いデータを得ることにより、これまでの遅れを取り戻し、より大きく前進し、ミレニアム開発目標を達成し、すべての人の尊厳と人権を推進し、保障することができるのです。