ミャンマー東部カヤー州にある国内避難民キャンプに住む女性のひとり、エイエイさん*は、簡単に生理用品を手に入れることができない状況にいます。「収入がないので、誰かが無料で支給してくれない限り、生理用品を買う余裕はありませんでした」と話すエイエイさん。「生理中に布を使わなければならないこともあります。衛生的でも便利でもありませんが、仕方がありません。適切な月経衛生のサポートがなく、私たち女性は尊厳を失っています」
女性たちは尊厳を失っていると感じているだけでなく、生殖器や尿路の感染症など健康上の問題や合併症、さらには地域社会からの差別や偏見などにも苦しむ可能性があります。加えて、月経の健康サポートが不足していると、女性と女児の移動が制限され、その結果、ヘルスサービス、教育、生計の機会など基本的な社会サービスや人道支援へのアクセスが妨げられる恐れがあります。
人道支援ニーズの高まり
2021年のミャンマー人道支援ニーズ概要によると、キャンプや避難所にいる約336,000人の国内避難民(うち29%が女性、20%が少女)を含め、100万人以上の人々が人道支援を必要としています。また6月には、政情不安によって引き起こされた紛争と混乱の激化により、2021年のミャンマー人道支援対応計画が一部修正され、さらに200万人が緊急支援を必要としていることが明らかになりました。
UNFPAは、パートナー団体とともに、影響を受けた地域の脆弱な人々に対して、月経に関する健康と衛生サポートを含むリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)サービスを継続しています。
今年、UNFPAのパートナー団体は、カヤー州とラカイン州に「セーフパッド・パイロット・プロジェクト」を導入し、紛争の影響を受けた地域に暮らす地元の女性と少女を対象に、月経に関する健康と衛生のニーズを満たすとともに、女性が収入を得る機会を生み出す取り組みを開始しました。
「生計向上のための支援を通じて地元の女性に(社会経済的な)力を与えるだけでなく、女性と少女にリプロダクティブ・ヘルスへのアクセスを確保することで、二重のインパクトを生み出しています」と、プロジェクトマネージャーのナンさん*はこのプロジェクトについて説明しています。
このプロジェクトを通じて、カヤー州の女性20人とラカイン州の女性19人が、抗菌性があり再利用可能なナプキンを製造するためのトレーニングを受けました。UNFPAのパートナー団体は、女性たちが製造した3,600個のナプキンを買い戻しプログラムで購入し、国内避難民キャンプに暮らす900人の女性と少女に配布しました。
幅広い衛生ニーズへの対応
このプロジェクトが提供する月経衛生管理キットには、再利用可能なマスク、ハンドジェル(消毒液)、下着、バケツ、洗濯洗剤、月経に関する健康管理のための情報も含まれています。
「私はこのプロジェクトから多くの恩恵を受けています」と話すのは、ナプキン製造の研修を受けたマワイさん。「私たちのコミュニティの女性には今、収入があります。私たちが作った製品は、月経衛生管理用品と情報を必要としている国内避難民キャンプの女性と少女たちに届けられます。地元の若者として、私はエンパワーされたと感じています」
※プライバシーと保護のために名前を変えています。本文は当該ニュースを、駐日事務所にて独自に翻訳、編集したものです。