アフガニスタン、カブール ― マラライ産院は、アフガニスタン首都カブールで最も忙しい病院のひとつで、帝王切開による20人を含め、毎日約85人の赤ちゃんをこの世界に迎えています。しかし、この国で続く人道危機は、妊産婦と新生児をケアするスタッフのキャパシティに大きな影響を与えています。
「機材、物資、薬のすべてが足りていません。冬がすぐそこまで来ていますが、暖房設備と燃料もありません。パートナー団体からの支援も不確かな状態が続いています」と、同産院のシャハラ・オルズガニ助産師長は切り出しました。
アキラ・バーラミ医師が勤務するアフマド・シャー・ババ病院では、非常に厳しい状況が続いています。 「以前は国際NGOから定期的に支援を受けていましたが、2021年8月の出来事の余波でスタッフはアフガニスタンを去ってしまいました。今、私たちは医薬品の供給がなく深刻な状況です」とバーラミ医師は話しました。
これら2つの病院は、アフガニスタンで最初にUNFPAから緊急リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)キットを受け取った病院です。このキットには、妊産婦の安全な出産をサポートするとともに、母子の健康ニーズに応えるために必要な医薬品と機器(少なくとも328,000人分)が含まれています。
300以上のキットが、カブールと15の州で、病院とモバイルヘルス・チームを通じて提供されており、さらに今後数週間で追加の配布が計画されています。
急増するニーズと、減少する支援物資
カブールの街が2021年8月にタリバンに陥落して以来、ますます多くの妊産婦が母子の健康管理を求めてマラライ産院を訪れており、その多くは国内避難民としてアフガニスタン北部の州から首都に避難してきた人たちです。避難民が他の場所に移動するにつれて、患者の数は徐々に元の状態に戻りましたが、病院の物資は枯渇したままになっています。
オルズガニ助産師長は、医療制度が完全に機能しなくなった場合、状況がさらに悪化する可能性があると指摘しています。暫定的な推計によれば、現在の緊急人道危機による女性と少女の命を守るリプロダクティブ・ヘルス・サービスの停止により、今後4年間で、最大58,000人の妊産婦死亡、510万人の意図しない妊娠が起こり、家族計画のニーズが満たされていない状況がほぼ2倍になる恐れがあります。
アフガニスタンでは、妊娠出産に伴う合併症により、女性が2時間に1人のペースで命を落としています。オルズガニ助産師長は「病院の物資が底をつき、援助物資が途絶えた今、緊急医療キットが極めて重要なのは言うまでもありません。次の支援が一体どこから来るのかもわかりませんから」と話しました。
危機の中で継続される支援
公衆衛生への投資は、過去20年間でアフガニスタンの基礎的なヘルスケアを大きく前進させ、妊産婦死亡率は、2000年の出生10万あたり1,450人から、2019年には出生10万あたり638人に半減しました。
それでも、これは世界で最も高い妊産婦死亡率の部類に入り、現在の危機に速やかに対処しない限り、医療制度は崩壊する可能性があります。これは、母体の健康管理における数十年間の前進を台無しにするもので、400万人以上の女性と少女の生命に重大な影響をもたらすことになります。
情勢不安の高まりにもかかわらず、UNFPAとパートナー団体は現地での活動を続けており、2021年10月には97,000人以上に、産前産後ケア、安全な出産、家族計画など、命を救うリプロダクティブ・ヘルス・ケアと保護サービスを提供しました。
※本文は当該ニュースを、駐日事務所にて独自に翻訳、編集したものです。