UNFPA事務局長ナタリア・カネムは、3月8日「国際女性デー」に際し、以下の声明文を発表しました。
女性と少女はその多様性を問わず、現実世界(オフライン)とオンライン(仮想空間)のいずれにおいても、暴力に脅かされることなく、自分のからだと人生に対し主体性をもって生きることのできる基本的な権利を有しています。
UNFPAは、女性や少女がオンラインで直面する保護の欠如について注意を呼びかけるために、bodyrightキャンペーンを開始しました。私たちはテクノロジーによって促進されるジェンダーに基づく暴力の被害者をサポートし、暴力の拡散を許しているジェンダーに基づく社会規範についての意識を喚起しています。
テクノロジーには無限の可能性があります。ネットワーク、機会、そして人々のマインドを広げる力を持っています。テクノロジーがますます普及するこの世界では、デジタルへのアクセス、リテラシー、スキルは、人々の暮らしから教育、市民生活への参加に至るまで、あらゆる面で不可欠なものとなっています。しかし、テクノロジーはますます悪用され、武器として使われ、女性と少女は、男性や少年に比べて不釣り合いに標的とされているのも事実です。アフリカ系住民、先住民、障がい者、LGBTQIA+の人々など社会から疎外された人々は、より一層脆弱な存在となり得ます。
デジタル・デバイド(情報格差)は、女性や少女がテクノロジーに消極的であることが問題であるかのように言われがちですが、そうではありません。テクノロジーにおける女性と少女の排除は、暴力と差別によって固定化され、彼女たちの未来を狭め、ジェンダー、経済、社会の不平等を深めています。この排除が積み重なった影響は甚大です。推定27億人がインターネットにアクセスできず、その大半は女性と少女です。世界的に見ると、男性の62%がインターネットを利用しているのに対し、女性は57%です。
女性と少女は、平等な未来を切り開く存在です。テクノロジーの創造に彼女たちが参加すればするほど、彼女たちの脆弱性は軽減され、社会全体が恩恵を受けることになります。新しいテクノロジーの背後にある意図が良し悪しに関わらず、不完全に設計されたテクノロジーとジェンダー不平等が一緒になると、害をもたらす可能性があります。それは、画像による虐待(同意なしに親密な写真を共有する)、セクストーション(性的情報や画像を公開すると脅す)、ハラスメント、ヘイトスピーチ、ネットいじめ、個人情報の「晒し」といった形で現れます。
テクノロジー関連のツールや製品の安全性、使いやすさ、包摂性を確保するためには、多様な視点が最も重要です。そのためUNFPAは、技術者がジェンダーに基づく暴力の予防と対応に配慮したテクノロジーを設計するための安全性と倫理に関するガイドラインを開発しています。また、極めて重要なこととして、設計プロセスの初期段階から女性が参加できるよう、テクノロジー企業に働きかけています。
テクノロジーは、ジェンダー平等を推進するために不可欠です。女性と少女が安全にテクノロジーにアクセスし使用することができれば、自分たちの声を増幅し主体性と自律性を発揮することができ、彼女たちの未来のを変えることができるプラットフォームを手に入れることができます。そして、それは私たちの未来を変えることにもなるのです。
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