4月5日、衆議院第一議員会館にて、国際人口問題議員懇談会(JPFP)会合『ウクライナ活動報告会』が開催されました。
ハイブリット形式で開催された本会合には、ウクライナ、イギリス、ポーランドからの報告者、外務省、法務省からのオブザーバー参加を含め約50名が参加しました。
JPFP事務総長を務める、黄川田仁志衆議院議員の進行のもと、はじめに、JPFP会長の上川陽子衆議院議員よりご挨拶がありました。
UNFPAウクライナ代表のインタビュー取材をしたNHK報道局国際部記者 松田伸子氏は、自身の取材したニュース動画を紹介しながら、ウクライナ情勢、とりわけ女性や子どもに関する問題は、世論の間で大変関心が高いテーマであることを述べました。また、ウクライナ国内外で避難を強いられている多くの女性が、人身売買や性暴力など、表面化しにくい危機にさらされている現状を受け、緊急避妊ピルなど女性へのさらなる支援を訴えました。
続いて、国連人口基金(UNFPA)、国際家族計画連盟(IPPF)、女性の権利に関する社会運動団体でありIPPFのポーランドにおける連携パートナーである Women’s Strike(女性のストライキ)による活動報告が行われました。
UNFPA事務局長ナタリア・カネムがモルドバのウクライナ避難民の避難所を訪問した際のメッセージ動画が紹介され、11万人の避難民を抱えるモルドバの避難所に対し、保健システムの整備のための資金調達など、女性や少女のリプロダクティブ・ヘルスを守る支援を提供する必要性を訴えました。
UNFPAウクライナ事務所代表・ベラルーシ事務所所長 ジャウマ・ナダルは、ウクライナにおいて、より多くの妊産婦が、地下シェルターや地下鉄など、子どもと自らの命が危険にさらされる窮地で出産せざるを得ない状況に陥っていることを報告しました。さらに、戦争の被害を受けている地域にいる女性から、早産や合併症などの出産に伴う問題だけでなく、性暴力やジェンダーに基づく暴力の報告が増加していることに危機感を示しました。これらの報告を受け、リプロダクティブ・ヘルスを守るサービスや性暴力・ジェンダーに基づく暴力に対する予防措置と産前産後ケアは、現在ウクライナで出産を控える約26万5000人の女性の生死を分ける人道支援であることを強調しました。
UNFPAは、このようなニーズに応えるため、約50万人分(13トン)のリプロダクティブ・ヘルスに関するサービス、薬品、医療機器などをウクライナのヘルスセンターに提供したことを報告しました。
IPPF人道支援部長 ジュリー・タフト氏は、ウクライナの隣国であるハンガリー、ルーマニア、モルドバでは、非政府組織(NGO)や医療従事者など、市民社会が支援サービスを提供し、避難民への緊急対応を行っていることを報告しました。
Women’s Strike(女性のストライキ)代表 マルタ・レンパート氏は、ポーランドにおける難民支援において、情報や移動手段の他に、女性や少女のからだと尊厳を守るため、生理・衛生用品などを入れたディグニティ・キットの提供の必要性を強調しました。
その後、質疑応答のセッションでは、
国光あやの衆議院議員による「現地の一番のニーズは何か」という問いに対し、UNFPAウクライナ事務所代表ナダルは、戦争により国内の医療機器・物資の生産活動が停滞している今、高まる医療用品の需要に対する供給ネットワークや社会的インフラを構築するための緊急支援が不可欠であることを強調しました。
さらに、UNFPAは、妊婦や新生児を抱える女性にとって命綱となる帝王切開のための設備、流産、早産、合併症への対応を行っていることを述べました。
島尻安伊子衆議院議員は、東日本大震災の際に「移動型診療車両」として活用した車の仕様に関する情報を提供するなど、国内における過去の支援活動のノウハウをウクライナ支援に積極的に活かすことを提案しました。
最後に上川JPFP会長は、3月30日の会合に合わせ、2回にわたる会合で届けられた現地の声や要望を、具体化かつ長期的な支援に繋げていく手段について、議論をさらに深めていく方向性を示しました。
UNFPAは、今後も引き続き、人道的危機に直面している女性と少女のからだ、命、そして権利を守るための人道支援を継続していきます。