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今年の国連人口賞は、バングラデシュのベテラン家族計画医、Halida Hanum Akhter医師とハイチの「リプロダクティブ・ヘルスと家族教育財団」(FORSREF)が受賞することに決まった。国連人口賞とは、世界各国で人口問題に取り組み、人々の健康と福利の向上のために優れた業績を上げた個人や組織に毎年贈られる賞である。

国連人口賞選考委員会は議長のJudith Bahemuka大使(ケニア)のもと、一国の政策決定者、研究者、ヘルスワーカーなどの27組の候補を審査し、受賞者を決定した。この選考委員会は国連加盟国10国の代表で構成され、国連人口基金(UNFPA)が事務局を務めている。受賞者は賞状、金のメダルと同額の賞金を受け取る。授賞式はニューヨークの国連本部で6月7日に開催される。

バングラデシュのAkhter医師は「バングラデシュ家族計画協会」の事務局長でもある。同協会は1953年設立で、選考委員会に提出された文書によれば、世界の家族計画団体の中でも最も古いもののひとつである。Akhter医師はまた、シアトルに本部を置く「保健における適正技術プログラム」(PATH)の理事も務めている。Akhter医師はその30年間に及ぶキャリアを通じて、リプロダクティブ・ヘルスに関するプログラムや技術を研究し、また実地に生かしてきた。1986年には「基本的健康とリプロダクティブ・ヘルス並びに関連技術促進研究所」(BIRPERHT)を設立し、バングラデシュにおける避妊薬(具)の使用効果や、リプロダクティブ・ヘルスサービスやニーズに関する重要な調査研究と、妊産婦死亡のアセスメントに携わってきた。

もう一方の受賞者であるFOSREF(Fondation pour la Sante Reproductive e l'Education Familiale)は、ハイチのリプロダクティブ・ヘルスと家族生活の向上に尽くしてきた民間の非営利組織である。1988年に創設され、26のセンターのネットワークを駆使して120万人以上の人々にリプロダクティブ・ヘルスケアを提供している。FOSREFは500人の教師と6,500の若い人材にリプロダクティブ・ヘルスについての基本的訓練を施し、3万人の若いボランティアで組織されたネットワークを用いて、HIV/エイズを含むリプロダクティブ・ヘルス関連情報をハイチの人々に広めている。選考委員会が入手した資料によれば、こうした活動によって、現在では3万人あまりのハイチ人が避妊薬(具)を使用するようになり、望まれない妊娠およびHIV/エイズへの感染が相当数減少したことがわかっている。

選考委員会のメンバーは、国連経済社会理事会によって3年ごとに選出される。現在のメンバーはアルジェリア、バングラデシュ、ベラルーシ、カメルーン、ガイアナ、ハイチ、イラン、ケニア、オランダおよびペルーから選出されている。加えて、コフィ・アナン国連事務総長と、国連人口基金事務局長のトラヤ・オベイドが職務上の担当メンバーとなっている。