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国連人口基金(UNFPA)は、国家開発計画において青少年の権利やニーズをいかに反映・普及させるかその方法について、世界各国の青少年代表からなる国際代表団に助言を求めることを決定した。また代表団は、世界で展開される国連人口基金の活動が青少年への配慮に富み、青少年に関わる問題、特に性生活・生殖に関する問題、HIV/エイズやジェンダーに関する問題に対し十分かつ適切なものであるよう諮問していく予定である。

ニューヨークで行われた会議は二日間にわたり、その中で青少年諮問委員会(Youth Advisory Committee)が組織された。委員会のメンバーは国内、地域、そして国際的な青少年ネットワークの代表20人で構成され、各委員は青少年を国連人口基金の活動プログラムとどのようにしてよりよく連関させていくかについて意見を取り交わした。4月15、16日の両日行われたこの会議では、委員自身が抱えている課題―プログラムの実施や大人や他の青少年との関わりかたにおける課題―についても議論が交わされた。

会議の中でトラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「今日の世界から明日の世界への進歩はみなさんにかかっているのです。みなさんの存在とみなさんの意見はわたしたちにとって必要不可欠なのです」と発言し、世界の青少年の権利とニーズを代表する諮問委員会の役割を有権者の声を反映させる議会のそれになぞらえた。

青少年のリプロダクティブ・ヘルス/ライツやニーズへに対する国連人口基金の長年の活動は、こういった諮問委員会の設立によく反映されているだろう。青少年諮問委員会の目的は、若い世代が自分たちの関心や問題について発言できるよう啓発することである。しかし同時に、委員会設立によって国連人口基金は青少年若者を支援する団体との意見交換の場をもつことになり、青少年のニーズにより効果的に対応できるよう助言を受けられることになる。さらに、委員会が青少年のリプロダクティブ・ヘルス/ライツの現状や傾向を明らかにすることで、青少年を対象とするプログラムの決定プロセスに青少年が参加できるようになる。

委員会メンバーの一人国際家族計画連盟(IPPF)青少年代表ウペカ・デ・シルバ(Upeka De Silva)氏は、青少年のリプロダクティブ・ヘルスが全ての開発計画に反映されるよう働きかけていくことを約束し、「計画に青少年自身を参加させていく過程は、その結果と同じくらい重要なことだと思います」と話した。

若者の文化を国連人口基金の活動に取り入れることは良い結果をもたらすとともに未然に意見の対立や軋轢を回避することにもなるでしょう」とガーナにあるアフリカ青少年連盟(African Youth Alliance)のイシュマエル・セラシ・グベゼハ(Ishmael Selassie Gbedzeha)氏は言う。さらに、グベゼハ氏は諮問委員会の強みとしてメンバーの多様なバックグラウンドを挙げ、国連人口基金の活動を成功に導くものだと付け加えた。

オベイド事務局長は委員に対し、文化、HIV/エイズ、そして青少年の早婚という3つの問題に焦点を当てるよう要請した。今日の若者が伝統的な価値観と拡大しつつあるグローバルなモダン文化の狭間に立っていることをうけて、事務局長は若者文化と親・家族・地域社会の文化とのギャップにどんな橋渡しが可能であるか、各委員の意見を求めた。

さらに、オベイド事務局長は毎日約6,000人の青少年HIV/エイズに感染していることにふれ、男女がお互いを尊重し支えあえるよう、ジェンダーの平等の普及について助言を求めた。また、「思春期の若者の多くが結婚を理由に性交渉をもっている」と述べ、早婚は権利の乱用であるとの考えを示した。しかし、結婚している思春期の若者のニーズを満たすリプロダクティブ・ヘルス・サービスが欠如しているため、ニーズは認識されていないことが多い。

女性の多くが早婚で、時にはわずか10歳で結婚させられている。こうした事実をふまえ、オベイド事務局長は、結婚している少女の両親や家族、そして彼女たち自身のニーズを聞く必要があると述べて、より効果的に適切なサービスを提供できる方策について諮問委員会メンバーに意見を求めた。

先進国・途上国両方からの参加による委員会メンバーは、一億人以上の青少年を代表している。メンバーは1994年の国際人口開発会議(ICPD)で合意された原則の中でも特にリプロダクティブ・ヘルス/ライツに対する貢献度に応じ選出され、任期は最長2年となっている。委員会は毎年開かれるもので、メンバー同士はeフォーラムを通じて定期的に情報交換を行うことにしている。