戦争が始まるということは、性暴力の恐怖と破壊も同時に始まることを意味します。女性と少女のからだは戦場になり、建物を爆破する爆弾や群衆をかき分けて進む戦車と同じくらい確実に、レイプは戦争の武器として使われます。
性暴力が招く結果はたくさんあります。からだは残忍に扱われ、心は傷つけられ、さらには殺人にまで至ります。女性は恐怖のため口をつぐみ、名誉を傷付けられ、恐怖と不安を植え付けられます。性暴力に付随する長期間にわたる障がい、性感染症、賃金の損失、医療費、そして不名誉は、被害者だけでなくその家族にも悪影響を及ぼします。
通」のことになってきていると語っています。例えば、イラクの少女ヘタム(仮名)。彼女は、過激派の兵士が彼女とその友人たちを自分たちの中で分け合うと自慢気に語っているのを聞いたときに感じた恐怖を、未だに言葉では言い表せないと言います。彼女は自分は若すぎると訴えましたが、彼女とその友人たちは繰り返し殴られ拷問を受けた長い夜の後、とうとう諦めたと言います。
2021年、UNFPAが行った人道支援プログラムにより、240万人のジェンダーに基づく暴力の被害者が支援を受けました。また、38か国の1000の保健医療施設が、レイプやその他の暴力に特化したケアの提供をサポートしました。数多くの紛争地において、UNFPAは臨床ケアと十分な緊急避妊薬の供給を確保するための緊急対応を行いました。
性暴力は人権侵害であり、国際人道法上の犯罪です。これは決して無視されたり、正当化されたり、軽視されてはならないものです。実際のところ、絶対に起きてはならないものなのです。
それが起きてしまうのは、多くの紛争において法律と保護の仕組みが崩壊してしまうからです。そして男性が「戦利品」を受け取る資格があり、女性や少女は使い捨て出来る存在だとみなす、明らかに差別的な考え方が根強いことが原因となっています。それは、あらゆる社会におけるジェンダー不平等とジェンダーに基づく暴力がある程度の規模で普遍的に存在していることを示しており、ひとたび危機と紛争が起こると、必然的に悪化する容認できない現実でもあります。
どのような状況においても、すべての女性と少女は安全で、平和で尊厳をもって生き、自由と平等を享受する固有の権利を持っています。紛争中の性暴力がある限り、UNFPAは信頼できるデータを基に、すべての被害者に包括的で質の高いサービスを提供し、支援していきます。私たちは、被害者の立場に立った調査と性暴力の申し立ての起訴を支持します。あらゆる形態のジェンダーに基づく暴力を助長するジェンダー不平等の根絶のために、私たちは全力を尽くします。
本日の紛争における性暴力根絶のための国際デーに、UNFPAは紛争中の性暴力は「普通」のことではないということを改めて訴えます。これは間違いなく根絶されるべきものなのです。