エイズ国際会議の準備を行っている中、国連人口基金(UNFPA)は、HIV/エイズに感染している女性や少女への予防、治療、支援のためのユニバーサル・アクセスを実現するときであると警告する。今回の会議のテーマは、「実現の時」である。
「HIV/エイズの蔓延から25年が経ち、研究成果が見られる一方で、まだ多くの課題が残っています。治療の拡充とともに、予防、ケア、支援にも力を入れなければなりません。何百万の女性、男性、若者が危機に瀕してため、対応を急がなければなりません」と国連人口基金事務局長トラヤ・A・オベイドは述べる。
「HIV/エイズの問題を伝えるのに世界は時間がかかりすぎています。今こそ伝えるときです。ジェンダーの不平等について話し合われなければなりません。エイズ感染者への非難や差別に立ち向かわなければなりません。迅速に行動すべきです。」と事務局長は続ける。
女性や少女がHIV/エイズの浸食を最も受け、世界中でその勢いは男性を上回る。HIV感染している女性の76%はサハラ以南アフリカに住み、女性の74%は15歳から24歳の若い年齢層である。カリブ海周辺では、HIV感染している人の51%は女性であり、アジア地域の女性感染率は、30%に達した。何百万の妊産婦は、必要とされる抗レトロウィルス治療の不足により、赤ん坊を感染から防ぐことができない。
国連人口基金リプロダクティブ・ヘルス部長アルレッティ・ピネルは、妊産婦への地球規模の取り組みは見るに耐え難いほど失敗の連続であると警告する。今日、専門家によると、HIVに感染している妊産婦の10人に1人しか、母子感染を防ぐための医薬品を手に入れられない。また、彼女たちが治療を受けられたとしても、子どもが生まれるやいなや、その治療はしばしば止められてしまう。このことは、子どもは生きられるかもしれないが、母親は生きることができないことを意味する。
「国連人口基金やパートナー団体は、HIV感染予防を性と生殖に関する健康と結びつける包括的な対策を支援する」と国連人口基金HIV/エイズ部長スティーブ・クラウスは述べる。このような対策には、少女や女性の間のHIV予防、HIV感染している女性の間で望まれない妊娠を防ぐこと、また彼女たちとその家族に治療やケア、支援を行なうことが含まれる。
国連人口基金は、いくつかの会議討論会でリプロダクティブ・ヘルスとHIV/エイズ予防とそのケアの関連性について強調する。特に、同基金が共催しているサテライト会議において、新しいヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルス(HPV)ワクチンとHIV予防対策との関連性についての発表には、注目が集まっている。
カナダ政府、国連人口基金、国連合同エイズ計画(UNAIDS)やその他のパートナー団体は、世界中から250名の若者を集め、ユースによる特別事前会議を行う。8月10日から13日まで行われ、若者たちは討論会やサテライト会議に参加しHIV感染の影響について自らの経験や意見を交換する機会を得る。
同基金HIV/エイズ部長は次のように述べる。「毎日6000人の若者が新にHIVに感染している今日、このフォーラムは時機を得たものであります。15歳から24歳までの年齢層は10億人を数え、そのうち約1千万人がHIVに感染し、新規感染の約50%は、この年齢層で起こっています」
第16回国際エイズ会議には、世界の政策決定者、科学者、NGO団体代表、HIV活動家が参加し、なぜ地球規模のHIV対策がその需要を大きく下回っているのかということについて、その解決策を話合う予定である。