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欧州委員会(EC)とベルギー政府の意向を受けて、国連人口基金が紛争地における性的暴力の問題に焦点を充てた初の大規模な国際会議を、エグモン宮殿(ベルギー、ブリュッセル)で開く。3日間の日程で、30カ国から250名以上の参加者が見込まれる。参加者は、国連機関の事務局長、NGO団体代表、人権擁護団体代表、研究者、政府閣僚、医師、人道支援機関職員、国会議員、国際刑事裁判所代表、軍、警察、従軍記者及びマスコミの関係者である。

紛争中の性的暴力の問題は今に始まったことではないが、より日常的な問題になりつつある。市民紛争や地域紛争が増加する中、以前にも増して市民が犠牲者となるケースが増えている。ボスニア・ヘルツェゴビナ、ルワンダ、コンゴ民主共和国、東ティモール、ハイチ、そして紛争の続くスーダンのダルフール州で起きている組織的なレイプは、特に深刻な問題となっている。

しかし、性的暴力は武力紛争時のみに発生するわけではない。避難時や避難キャンプで、または支援物資の分配時でさえ、女性や若者が被害に遭うケースが少なくない。暴力の蔓延や法制度の崩壊により、被害者の救済と犯罪者の訴追がままならないため、公式的に紛争が終結した後も性的暴力はなくならない場合が多い。

ブリュッセルの会議では、被害の規模、それに伴う社会・文化・開発的なコスト、そして予防とケアの意義について検証される予定である。さらにコンゴ民主共和国、リベリア及びその他の紛争地域において、保健、社会、法、および、安全保障といった分野を超えた政策や実践の成功例についても検証されることになっている。

ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルンジ、中央アフリカ共和国、コロンビア、ハイチ、インドネシア、リベリア、パレスチナ占領地域、ルワンダ、シエラレオネ、スリランカ、スーダン、およびウガンダといった14カ国の紛争地域が代表団を送っている。各国・地域の代表団は、性やジェンダーに基づく暴力を抑制するための国家計画を提示して、国際的支援団体と人道支援機関に援助を求めるつもりである。

性的暴力の影響は深刻なもので、生存者及びその家族と地域、さらには国全体にもおよぶ。肉体的な被害としては負傷、望まれない妊娠、及びHIV/エイズが挙げられる。また、精神的な被害には、精神的不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、及び自殺がある。また、性的暴力の蔓延を防ぐことができない場合、不安、恐怖、報復のサイクルが生まれ、平和構築、復旧および復興活動が妨げられることもある。

紛争影響下にある国々で、性的暴力が公衆衛生、人権、および開発の問題としてますます認識される中、今回のシンポジウムが開催されることになった。

国連は、安全保障理事会やハイレベル会議で議論された平和構築から国連改革といった幅広い内容の報告書の中で、あるいは人道支援活動ための新しい枠組みやガイドラインの中でこの性的暴力の問題を取り上げてきた。国際刑事裁判所は紛争中の組織的なレイプを戦争犯罪であると見なし、被害者を保護し、加害者をより厳しく罰するための法整備に務めている紛争経験国も増えてきている。1月の就任演説の中で、リベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領が一国家の最高責任者としてはじめてこの問題へ言及した。

シンポジウムは6月21日 午後1時に開始予定で、アルマンド・ドゥ・デッカー(Armand De Decker)ベルギー開発協力担当大臣、国連人口基金事務局長トラヤ・A・オベイド、リーヴェ・フランセン欧州委員会人間・社会開発部長があいさつを行う予定である。シンポジウムは、「行動への呼びかけ」を採択し金曜日の正午に終了する。