国連人口基金(UNFPA)は欧州委員会の支援を受け、ネパールに特設キャンプを設置した。これによって人々は、10年間の内戦の間受けられなかったリプロダクティブ・ヘルスケアをまもなく享受できるようになる。
移動式医療サービスは、今後一年で男女約15,000人と、ネパールの極西部と中西部に位置する6つの山岳地域の青年キャンプにおいて利用可能となる。
ネパールでは、人口の80%以上が農村部に住み、地理的、経済的、文化的な障害から基礎的医療ケアへの機会が制限されている。長く続いた武力紛争により医療従事者や医療施設、医療品の不足が深刻化したため、ごく一般的な病気さえも治療が困難となってきている。年間約100,000人の女性を苦しめる妊産婦特有の疾患は、ほとんど放置されたままである。
国連人口基金ネパール事務所代表の佐崎淳子は、この医療サービスが不可欠であることを次のように強調した。「このプロジェクトによってこそ、多くの死や苦しみ、極度に制限された生活状況をひきおこすリプロダクティブ・ヘルス関連の問題を予防し、是正することができるのです」
巡回医療チームは仮施設を建て、家族計画、緊急産科ケア、健康診断、また性感染症やHIV・エイズ、性的暴力のような、場合によっては生死に関わる問題のカウンセリングや治療を行う予定である。またキャンプでは、子宮脱矯正等の重要な外科処置も行えるようにし、更に治療が必要な場合には国の医療制度への紹介をおこなう。
今後このようなサービスがしっかりと被害地域に行き届くように、現地の医療従事者は緊急事態でもリプロダクティブ・ヘルスケアが提供できるように訓練を受ける予定である。
欧州委員会人道支援事務局(ECHO)からの資金援助により、国連人口基金の専門家は緊急事態におけるリプロダクティブ・ヘルスケアを支援し、人種、民族、宗教、性別、年齢、国籍、政治的色彩に関係なく、被災者に公平な援助を行う。
第16回国際エイズ会議には、世界の政策決定者、科学者、NGO団体代表、HIV活動家が参加し、なぜ地球規模のHIV対策がその需要を大きく下回っているのかということについて、その解決策を話合う予定である。