人道危機下における、命を救うリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)サービスの提供は、国連人口基金(UNFPA)の人道的・緊急対応の中枢を担っています。UNFPAケニア事務所は、日本政府から約60万米ドルの資金提供を受け、COVID-19の感染拡大で最も甚大な被害を受けたコミュニティの回復力を高めることを目的とした「Hope Beyond Covid-19(COVID-19を乗り越えた先の希望)」プロジェクトを立ち上げました。本プロジェクトは、ナイロビ市とトゥルカナ郡で、支援が届きにくい地域、疎外された地域、都市の非公式居住区に住む人々を対象に実施される予定です。
COVID-19の感染拡大は、人々の健康とコミュニティの生活に甚大な影響を与え、ジェンダーに基づく暴力(GBV)に対する脆弱性が高まり、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)・サービスへのアクセスが制限されました。その結果、女性と少女は不均衡な影響を受けています。「Hope Beyond Covid-19」プロジェクトは、ケニア赤十字社、ヘルスケア・アシスタンス・ケニア、認定NPO法人REALs(Reach Alternatives)と連携し、SRHサービスの提供と、GBVの予防と対応に関する協力強化のために実施される予定です。
在ケニア日本大使館の岡庭健 特命全権大使は、トゥルカナ郡に設置されたカクマ難民キャンプでの本プロジェクトの立ち上げにあたり「日本政府はUNFPAの長年のパートナーです。COVID-19の復興支援を通じて、このカクマ難民キャンプでのリプロダクティブ・ヘルスを推進する本プロジェクトの開始を非常に嬉しく思います」と述べました。
本プロジェクトは、2つの郡におけるセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)とジェンダーに基づく暴力(GBV)の予防と対応サービスの提供を強化することを目的としています。さらに、脆弱な立場にある女性が生計を立てられるようにし、干ばつと国内で増大する人道的ニーズの影響を緩和するための対策にも貢献します。
UNFPAは、政府、市民社会、開発部門のパートナーと協力し、国内GBVヘルプライン1195を通じた遠隔のカウンセリングサービスの提供、SRHおよびGBVの予防と対応に携わる200名の関係者に対してのトレーニング、基本的な緊急産科・新生児ケア(BEmONC)サービスの提供を強化するための保健医療施設の改修など、様々な支援を提供する予定です。
UNFPAケニア事務所代表のアンダース・トムセンは、女性と少女のためのサービス提供を拡大するための日本政府と日本国民からの継続的な支援に感謝の意を表しました。「UNFPAと日本政府の協力関係によって、私たちは世界中で人類が直面する多くの課題を克服してきました。私たちは、トゥルカナ郡とナイロビ市の関係者と協力し、数々の危機が重なったことにより最も負担を強いられている人々のために結果を出すことを約束します」と述べました。
日本政府は2018年から、カクマ難民キャンプとカロベイエイ統合居住区の難民コミュニティに対するSRH・GBVの予防と対応サービスの提供を通じて、UNFPAを支援しています。2018年度補正予算から100万米ドルの資金提供を通じて、UNFPAはカクマとカロベイエイにGBV回復センターを設立し、臨床、心理社会、患者紹介サービスによって、難民とホストコミュニティの数千人の女性たちにサービスを提供し続けています。
本文は該当記事を、駐日事務所にて翻訳・編集したものです。