ミャンマーでは、2021年2月に起きた軍によるクーデターやコロナウイルスの影響で、女性や少女たちを取り巻く環境は一層悪化しています。2022年度の人道ニーズ概要によると、ミャンマーの総人口約5400万人のうち、4分の1にあたるおよそ1440万人が緊急人道支援を必要とすると予測されており、未曽有の困難にまさに今直面しています。このような状況の中、女性の出産を取り巻くリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)サービスへのニーズは見落とされがちであり、妊産婦の死亡や意図しない妊娠が増加する傾向があります。
特に紛争地帯やサービスが届きづらい地域に住むミャンマーの女性や少女たちにリプロダクティブ・ヘルスサービスを届けるため、国連人口基金(UNFPA)は日本政府から総額約100万ドルの支援を受けました。治安が悪化している都市部のヤンゴンに加え、地方のチン州、カヤー州、カレン州、シャン州、サガイン州、マグウェイ州を対象として、38.3万人の人々に支援を届けることを目指しています。このプロジェクトでは、主に2つの活動をパートナー団体とともに実施していきます。1つ目は、緊急リプロダクティブ・ヘルスサービスの提供及び利用を拡大すること、2つ目は人命救助に直結するリプロダクティブ・ヘルスのための備品・物資の安定的な提供を強化することです。若者への支援を積極的に行い、さらに包括的なサービス提供のため、UNFPAが既に実施している“ジェンダーに基づく暴力”や“メンタルヘルス・心理社会的支援”分野のプログラムと連携させながら進めていきます。
「日本政府からの支援に心より感謝します。私たちがサービスを継続することは、性感染症の予防、意図しない妊娠、そして予防可能な妊産婦死亡を減らしていくためにとても大切です。この時宜を得た支援のおかげで、紛争地帯で最も負担を強いられている女性や少女たちに、命を救うリプロダクティブ・ヘルス関連のサービスを届けることができます」と、国連人口基金(UNFPA)ミャンマー事務所代表のラマナサン・バラクリシュナンは述べています。
このプロジェクトは、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「健康と福祉」と目標5「ジェンダー平等の実現」に貢献します。そして、リプロダクティブ・ヘルス関連サービスへのアクセス向上に加え、女性や少女たちの自分たちのからだの自己決定権の向上を支援していきます。
UNFPAはリプロダクティブ・ヘルスを推進する国連機関として、すべての妊娠が望まれ、すべての出産が安全に行われ、そしてすべての若者の可能性が満たされる世界の実現に向けて取り組んでいます。