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国連人口基金(UNFPA)による新しい報告書、、“Working from Within: Culturally Sensitive Approaches in UNFPA programming(コミュニティーからの取り組み:国連人口基金のプログラムにおける文化配慮アプローチ)”は、開発努力は、受益者の文化に配慮し、開かれた対話や地域社会の参加の上になされるとき、さらに成功の可能性が高まるとしている。

同報告は、地域の社会的・文化的現状を認識し、開発プログラムに対する地域社会のオーナーシップを積極的に推進することは、それをより受け入れやすいもの、そして持続可能なものとする環境を生み出すと結論付けている。

同報告書は、現地の人々・機関と連携したアプローチ・連携に関し9カ国を例に挙げているが、これらの事例は、地域社会に利益をもたらすことができる開発目標の達成や人権の尊重という点において、複雑な文化システムの中からの取り組みがいかに効果的であるかということを示している。この報告書は、国連人口基金のフィールド経験に基づいている。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「社会的、文化的な現状は、開発目標や人権を推進するに際し、克服すべき課題であると同時に、好機でもあります。これはジェンダー、HIV/エイズ女性性器切除、女性に対する暴力、妊産婦の健康、家族計画の問題に取り組む場合に特に言えることです」と語る。

例えば、ウガンダのある地域では、年長者と提携しサビニー族の文化の尊厳を保ちながら女性性器切除という長年の慣習が姿を消しつつある。リプロダクティブ・ヘルス・ライツは、長年にわたり公に話すことがタブーであったが、イスラム教指導者と共同して問題に取り組むことにより、国内のイスラム共同体においても推進されるようになった。エイズ予防を含む性とリプロダクティブヘルスに関するメッセージも、ウガンダのキリスト教会との連携のもと国中に広められた。

ラテンアメリカにおいて妊産婦死亡率が最も高い国の1つであるグアテマラでは、女性およびその家族の健康促進を目的とする法案制定にあたり、国連人口基金は主導的な役割を果たした。このグアテマラの例では、カトリック教会、様々な福音派教会、専門家、労働組合、ビジネスリーダーを含む様々なグループの共通点を見つけ出すことで、国連人口基金はこの革新的な法案の採択を後押しするための連携を作り出すことに寄与した。

同報告書には他にも、ブラジル、カンボジア、ガーナ、インド、イラン、マラウィ、イエメンでの事例が掲載されている。この報告書は、「対話と開発に向けた文化多様性のための国連世界の日(5月21日)」(United Nations World Day for Cultural Diversity for Dialogue and Development)に合わせて、今日(5月18日)ニューヨークにおいて発表された。この日は、繁栄の達成、持続可能な開発そして世界の平和共存に関して文化のもつ可能性を再認識する日である。