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性的暴力に苦しむ女性と少女たちを支援するためには更なる財源が必要だ、と紛争の影響下にある国々の医師と社会サービス提供者たちは呼びかけている。痛ましい証言が紹介される中で、彼ら/彼女らは性的暴力の長期的な影響を強調、犠牲者が自らの生活を取り戻すためには医学的、社会的、法的、心理学的サービスが必要であると説明した。こういった訴えは、「第1回紛争地域内外の性的暴力に関する国際シンポジウム」2日目に取り上げられた。同シンポジウムは、 UNFPA(国連人口基金)主催、ベルギー政府及び欧州委員会の後援。

数ある証言のなかでも最も痛ましいもののひとつは、コンゴ民主共和国のジャン・パスカル・マンガ(Jean Pascal Manga)医師が紹介したものであった。わずか1歳の少女が金属棒、爪、杖といった道具を用いてレイプされたというものだ。「マニオク植物の木で、多数の特にとても幼い少女がフィスチュラ(産科ろう孔)を引き起こす多くの問題に苦しめられています」と、彼は述べた。

心的外傷を伴うフィスチュラは、レイプを受けた際に細胞組織が破壊されることによって起こり、尿や便(またはその両方)の慢性的失禁を引き起こす。国連人口基金は、難産や適切な産科ケアが行われないことが原因で生じるフィスチュラに対しても積極的に取り組んでいる。

マンガ医師は、以下のように語る。「レイプやそれに伴う心的外的後遺症のケアには、新しい治療薬が必要ですが未だ整っていません」、「5歳以下、さらには1歳の幼い少女や赤ん坊がフィスチュラを患っているなんて思いもよりませんでした。私たちは今新しい状況に直面しています。これらの問題に対処するには西欧の医療関係者との情報交換が必要です」。

彼はさらにこうも語った。「約2万5,000人の女性や少女がレイプされ、継続的支援を必要としています。」「アフリカでは、女性がレイプされると家族から見捨てられます。女性がフィスチュラを患い尿のにおいがすると、誰も彼女に近寄らなくなるのです」、「レイプが原因によるフィスチュラが226件あり、手術の約20パーセントが失敗しています」。

「レイプされた女性と少女の90パーセントは何らかの性感染症に感染していて、約10パーセントがHIV陽性です」と、マンガ医師は参加者に説明した。「レイプされた子供たちのHIV感染を防ぐための治療はとても困難です。子供たちの体格に合うように薬を調合することが難しいのです」、「HIVに感染している子供たちは栄養失調であり周囲からも疎外されています。私たちが薬を調合しても、子供たちは衰弱しているので過量摂取となってしまう可能性があります」と語る。薬と医療用品の不足を軽減し、医療関係者に必要なトレーニングを提供し、紛争で被害を受けた病院や診療所の復旧のために国際的な支援を呼びかけた。

ガザ地区にあるブレイジュ(Bureij)女性保健センターのファーヤル・タベット(Feryal Thabet)医師からも報告があった。「イスラエルとの国境閉鎖や拡大する紛争は、女性の健康悪化や女性に対する暴力の増加を引き起こしています」。

タベット医師は、「パレスチナの妊産婦の3分の1以上が貧血症です。早期結婚が増えるにつれて、危険性の高い妊娠も増えています」と語った。

「検診のためにセンターを訪れる妊産婦の数は減っていて、2005年には妊産婦の80パーセントは出産後のケアを受けませんでした。また、何の医療補助もない状態で61件もの出産が行われました」とタベット医師は語り、続けて失業率と貧困の増加に言及しながら「適切な産科ケアへのアクセスや避妊具を含む医療品の不足により女性が弱い立場に追いやられ、安全でない性交渉が増えています」と述べた。

本シンポジウムは政府と国連機関、NGO団体が参加し、紛争中・後における性的暴力の生存者のニーズにこたえるための行動を呼びかけるために実施されている。